生産量、5年以内に500万トンくらいになる可能性
1970年に本格導入された減反政策は、供給過剰を防ぐことでコメの価格を維持し、農家の経営安定に貢献したが、競争原理が働かず、意欲のある農家へ農地集約が進まなかった。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加をにらみ、関税撤廃など自由競争で生き残れる大規模農家を育成したいという、政権の狙いが見え隠れする。「減反を廃止すればコメの価格が下がり、その分だけ外食を中心にコメの消費は増える」と見るエコノミストもいる。
安倍晋三首相は減反廃止とともに、今後10年間で農家の所得を倍増させる計画だ。しかし、コメ生産農家の見方は冷ややかだ。「消費者が食べたくないものを農家が無理に食べさせることはできない。これからコメの価格が上がることはあり得ず、小規模農家は廃業に追い込まれるだろう。現在の年間約800万トンの生産量が、5年以内に500万トンくらいになる可能性がある」(東北地方の大規模農業法人)という。消費者のコメ離れと減反廃止で、私たちの食生活と農村風景は様変わりしてしまうのだろうか。