米オバマ米大統領は米アップルのスマートフォン「iPhone」の使用をセキュリティ上の理由で許されていないと明かした。
オバマ大統領といえば、就任前からブラックベリーのヘビーユーザーとして知られる。今ではデザインや機能性に優れたiPhoneの登場によって、米国内でのシェアを落としてしまったブラックベリーだが、オバマ大統領は特別に利用許諾を得たうえ、独自の暗号システムを導入して愛用しているとみられる。ひところ、ブラックベリーを手にする大統領の姿が報道され、当時のブラックベリー人気を高める一因ともなった。
ブラックベリーはセキュリティ性能が高い?
携帯電話からツイッターでメッセージを発信するなど従来の大統領とは異なるイメージを定着させたオバマ大統領。ブラックベリーの愛好家だけに「iPhone嫌いなのでは」とも噂されてきたが、2013年12月4日にいわゆるオバマケアと呼ばれる医療保険改革法を説明する会合で「安全上の理由でiPhoneの使用は許可されていない」と告白した。
ブラックベリーはセキュリティ性能が高く、米政府機関での人気は依然高いとされる。オバマ大統領がiPhone嫌いかどうかは別にして、今はブラックベリー以外の選択肢はないというのが実情のようだ。スマホなど情報端末を通じて国家機密を盗み取ろうとする見えない敵から身を守るためには、厳しいセキュリティが求められるのは当然といえば当然でもある。
アップルがだめな理由は明らかになっていない
しかし、なぜ、アップルはだめなのか。その理由は明らかにはなっていないが、一つ気になる情報がある。
米国内の報道によると、米国家安全保障局(NSA)の情報収集を告白した元NSA契約職員エドワード・スノーデン容疑者が、アップルはNSAに対して顧客情報を保存するサーバーへのアクセスを許可している可能性があると暴露した。この情報の真偽は分からないが、機密情報を公表し米国政府から追われるスノーデン容疑者の暴露だけに納得させられる。
NSAといえば、同盟国であるメルケル・独首相ら多数の外国首脳の電話盗聴などで情報収集活動していたことが発覚した。米国は猛烈な批判にさらされたうえ、独仏が米国情報機関との協力関係見直しを示唆する事態にまで発展したのは記憶に新しい。電話盗聴といった通信傍受を含めたスパイ活動に血道を上げる国とも評される米国だけに、大統領のiPhone禁止は情報管理に対する米国のシビアさを際立たせているともいえる。
ただし、アップルはNSAへの協力は否定している。
オバマ大統領はアップルのタブレット端末「iPad」は使えるほか、愛娘たちはiPhoneの愛好家だという。