施設の長寿命化への取り組みも必要
ただ、社会保障費が膨らみ、国や地方自治体がそろって厳しい財源問題に直面する中、10年後に現状の4割増というインフラの維持管理・更新費負担に耐えられるかは見通せない。実際に必要な費用が5兆円台としたら、現状の公共事業費にも匹敵する規模であり、現実性の乏しい支出であるともみえる。
審議会の答申では「必要となる予算の確保に十分な政策的対応を図るべきだ」などとし、老朽化対策には財源面で万全を期すよう求めた。一方で、施設の長寿命化への取り組みなどを進めることも必要だと指摘。さらに、「今後の都市、地域の構造の変化に対応して施設の必要性自体を再検討するなど、効率的・効果的な維持管理・更新を図るべきである」などとして、さまざまな見直し作業を求めている。
インフラの老朽化対策という名目で、無駄な公共事業の復活につながってはならないという指摘が強まっている。国交省を中心に、維持管理・更新の対象となる施設の選別や施設の長寿命化を進めるための技術開発など、財源確保以外のさまざまな対策を進めなければ、今後の本格的な老朽化時代には対応できない。