最近、家電量販店や町の電気屋であまり見かけなくなってきた白熱電球。それに代わるLED電球の価格が、値下がりしてきたとはいえなお高価なこともあって、いまも少なくないニーズがある。
「トイレの電球の交換に何千円も出せない」などとLED電球に不満げな人のためだけではないが、白熱電球はまだまだ販売されている。
LED電球VS白熱電球、販売数は一進一退
白熱電球については、2008年に政府が大手家電メーカーに対して、12年度までに製造中止を呼びかけた。消費電力が高く、地球の温暖化防止に反するというのがその理由だ。
それから5年、東芝ライテックや三菱電機オスラム、パナソニックなどの大手が白熱電球の製造を中止し、LED電球への切り替えを進めている。
加えて、11年3月の東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故で、東日本を中心に大規模な電力不足が発生したことをきっかけに、消費者の節電意識が高まったこともLED電球の普及を後押しした。
なにしろLED電球は消費電力が少ないうえ、2万~4万時間という長寿命なので、電球を交換する手間が大幅に省ける。当初は「光が広がらない」といった不満もあったがそれも解消され、またどんな白熱電球からも切り替えできるよう種類も増えて、最近の家電量販店の照明コーナーには、LEDなどの省エネ光源が豊富に並べられている。
市場調査のジーエフケーマーケティングサービスジャパン(GfKジャパン)によると、「家電量販店店頭におけるLED照明(LED電球、LEDシーリングライト)の販売動向」は、電球市場におけるLED電球の占める割合が2011年7月第1週に約50%に到達。LED電球が白熱電球の販売数を上回った。
ところが、「その後、この割合にはあまり変化が見られません」という。「年末の大掃除などの機会にLEDに換えようという人はいますが、いま使っている電球が切れたときに、当座使う電球をLEDにしようという人は少ないようです」と話していて、月によって白熱電球が多かったりLED電球が多かったりする。
白熱電球は1個180~300円程度。LED電球の価格はその10倍前後もするのだから、「トイレの電球にLED電球は不釣り合い」という気持ちはわからないではない。
実際に、「家電量販店には(大手メーカーの)在庫が残っていますし、白熱電球は現在も販売しています」(GfKジャパン)。大手家電メーカーは製造を中止したが、中小メーカーが製造を続けているほか、中国などからの輸入品も多く流通しているようだ。
欧州では2016年に「全面移行」する計画
とはいえ、白熱電球がなくなりつつあることは間違いない。じつは欧州連合(EU)でも白熱電球からLED電球などの、電力消費量を約8割削減できる省エネランプへの切り替えが進められている。すでに白熱電球の製造・販売禁止が義務付けられるなど、その措置は日本よりも厳しい。
欧州では、EU環境指令「No.244/2009」に基づいて、ワット数の高い白熱電球から順に販売を禁止。2016年9月1日には全面移行する計画。もちろん、在庫があるうちは小売販売が可能だが、EU外からの輸入や個人的な持ち込みも禁止されるという。