殺人や強盗など重要犯罪の認知件数でも全国一
街頭犯罪だけではない。警察庁が毎年公表している「犯罪統計」を見ると、大阪は殺人や強盗、放火を含む重要犯罪の認知件数でも全国で最も多いのだ。2012年は2285件で、東京の1867件を上回る。2013年のデータは1~11月までだが、これも2173件で東京よりも多い。
検挙率の低さも気になる。2012年の全国の検挙率は65.8%だった。これに対して大阪は45.6%にとどまる。2013年1~11月は44.9%とさらに下がった。
振り込め詐欺も多い。大阪府警によると、振り込め詐欺と、異性紹介など類似の詐欺を合わせた2013年の認知件数は1110件で、前年比で倍増となった。
数字を追う限り、大阪は治安面で不安がぬぐえない。しかも府民の安全を確保する立場の大阪府警が、誤認逮捕を繰り返している。2014年1月9日には、鶴見署が、女性の申告に基づいて20代男性を監禁と窃盗の容疑で逮捕したが、その後女性が虚偽を申し立てていたと認めたため約4時間後に釈放していた。同署の喜田真司副署長は「今後、このようなことがないよう適正捜査に努め、再発防止に全力を尽くす」とのコメントを出した。
これで府警は、半年間で7件の誤認逮捕を出したことになる。例えば2013年4月、北堺署が窃盗容疑で40代の男性を逮捕した。ガソリンスタンドで、盗まれた給油カードが使われた様子が防犯カメラに映っていたというものだったが、実際はこの男性は事件と無関係だったことが分かった。男性は釈放されたものの、勾留は85日間にも及んだ。8月には、女性が「あの男性に尻を触られた」と証言した内容に基づいて、浪速署の署員が50代男性を痴漢容疑で逮捕。ところが防犯カメラを確認したところ別人の犯行と分かり、同日釈放、謝罪した。
府警では、年初に開かれた警察署長会議で田中法昌本部長が裏付け捜査の徹底を指示したばかりだったという。この1年で「ワースト1位」の汚名返上が命題だが、滑り出しでつまずいた格好だ。