ACミラン入団会見で見せた本田の英語力 「堂々たる受け答え」に英語のプロも絶賛

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「完璧な英語」はいらない、「完璧なコミュニケーション」が重要

   本田選手は高校卒業後にJリーグ・名古屋グランパスに入団するが、2008年、21歳でオランダに渡った。サッカージャーナリストで「フットボールレフェリージャーナル」を運営する石井紘人氏は、この経験が語学力アップのきっかけになったと考える。高校時代は主将を務めた経験から、チームメートと積極的にコミュニケーションを図った。オランダ時代も途中からキャプテンを任されている。もともとチームプレーのスポーツなうえ、強いリーダーシップを発揮する本田選手は、言葉の壁を乗り越えてピッチ内外で仲間と多く会話を交わしたはずだ。

   インターネット上にはオランダ時代、その後移籍したロシア時代に受けた英語のインタビュー映像が残っている。初期は「カタコト」の域を脱していなかったが、ロシア在籍時は10分以上に渡って聞き手と英語でやり取りしていた。一貫しているのは、多少表現があやふやになっても慌てず、誠実に答える姿勢だ。石井氏は「たとえ専属通訳がいても、試合中にいちいち呼び寄せるわけにはいきません。監督によっては、ピッチに入れることすら嫌がるケースもあります」と話す。私生活ではともかく、「仕事」であるサッカーでは通訳に頼りっきりになるわけにはいかない。こうした環境と、本田選手の性格もあって、オランダやロシアでは各国から集まった選手たちと「共通語」である英語でやり取りが当たり前となり、語学力が磨かれていったのだろう。

   前出の女性通訳は、「重要なのは『完璧な英語』ではなく『完璧なコミュニケーション』。ネイティブスピーカーが使うしゃれた言い回しを取り入れても、相手に通じなければまるで意味がありません」と指摘する。特にサッカーのような勝負ごとは、誤った意思伝達が致命的なミスにつながりかねないからこそ、誤解されることのない端的で明快な表現が求められる。聞き手が誰か、出身はどこかを問わず確実に意思が伝わる表現を選び、丁寧に話すことこそが最も大切なのだ。

   会見を通して、自らの言葉でミラン入団への熱い思いを語った本田選手に対しては、「イタリアメディアやファンは好印象を持ったはず」(石井氏)。つかみはOK、あとは自身が語った通り、実力を「ピッチで証明する」だけだ。

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