自動ブレーキに過大な期待は禁物
この事故が社会に与えた影響は小さくない。事故直後から自動ブレーキの安全性を不安・疑問視する声が相次いでいるのだ。
自動車各社が車両搭載を進める中、事故原因が自動ブレーキにあったとなれば、マツダだけの問題にとどまらず、システムそのものの信頼が揺らぐ可能性もあった。将来を見据えて開発が進む自動運転にとっても重要な技術だけに、業界からは「車両が事故原因でなかったと分かり、マツダさんだけでなく、各社もほっと胸をなで下ろしている」との声も聞こえてくる。
そもそも自動ブレーキは欧米メーカーが先行して開発が進み、ボルボが2009年に日本市場に初めて投入した。日本勢も富士重工業が2010年に先陣を切ると、トヨタ自動車やスズキなども相次いで導入している。
ただ、自動ブレーキをめぐっては、トラブルも多く、トヨタと三菱自動車が昨年6月にリコールを国土交通省に届け出た。いずれもマツダの事故とは違って前方車両でなく、並走する車両などを検知し急ブレーキがかかる可能性があるというものだった。
マツダは事故直後に「障害物の大きさや種類・距離、周囲の環境、車速、ドライバーの運転操作により正常に作動しない場合がある」と説明し、自動ブレーキはあくまで補助的機能だと強調した。過大な期待が広がりつつある中での事故。業界内では「事故が自動ブレーキへの過度な期待を改めさせるかもしれない」との声も出ている。