マツダは埼玉県深谷市で2013年11月に発生した自動ブレーキの体験試乗会での衝突事故について、使用車両に故障や異常は確認されなかったと年末に発表した。
事故は深谷市の自動車販売会社駐車場で行われたスポーツ多目的車(SUV)の「CX-5」の自動ブレーキの体験試乗会で発生した。
近赤外線レーザーを発射して前方車両を検知
発車したCX-5は、約7メートル先のウレタン製マット直前で自動ブレーキによって停止するはずだった。それが止まらずに、さらに約6メートル先のフェンスに衝突して停止。運転していた客の男性が頸椎捻挫の軽傷、同乗のマツダ系販売店の男性が右腕を骨折する重傷を負った。この事故前に数組が試乗した際には停止していたという。
マツダは事故後に埼玉県警の要請を受け、自動ブレーキの「スマート・シティ・ブレーキ・サポート(SCBS)」や故障診断システムに関するデータを提出して捜査協力。車体検査なども行ったが、事故車両に故障や異常は見つからなかったという。
このCX-5に搭載された自動ブレーキは、近赤外線レーザーを発射して前方車両を検知し、ドライバーの操作に応じてブレーキをサポートするというもの。他社も同様のシステムを採用しており、特殊な技術ではない。検知可能距離は約6メートルで、時速4~30キロで作動するが、アクセルが一定以上踏み込まれた状態や30キロ超では機能しないという。
今回のマツダの発表では、直接の事故原因についての説明はない。事故時に時速30キロを超えていたとの情報があるほか、試乗コースの設定が適切でなかった可能性も指摘され、県警が捜査を進めている。