「ふるさと納税」、特典で広がる 寄付の御礼に「地元特産品」、やりすぎの声も

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福井県「故郷応援の趣旨にそぐわない」

   ユニークな特典もある。大阪府泉佐野市は、特産品のタオルなどのほか、関西空港周遊クルージング招待券、さらに地元「犬鳴山七宝瀧寺」での滝修行などを行う1日修験体験など次々にラインアップを加えた結果、寄付は2011年度633万円が、2012年度は1902万円と飛躍、2013年度も10月末までで1500万円を超え、前年度を上回るペースだ。

   静岡県磐田市はサッカーJリーグのジュビロ磐田の観戦チケット、千葉市はプロ野球・千葉ロッテマリーンズの特別観覧席招待の特典がある。また、先に紹介した中之条町は100万円以上の寄付者に対して「1日町長」に就任してもらう制度も設けている。ただし実績はまだないとのこと。

   他方、ふるさと納税制度創設を提唱した西川一誠知事を擁する福井県は特典を設けていないためか、2012年度の寄付は5642万円(県内市町村を含む)と初めて6000万円を下回ったが、それでも県は特典導入には「故郷応援の趣旨にそぐわない」として、慎重姿勢だ。

   たしかに、阿南町の例では、実質負担が2000円で3万円寄付しして、成人1人の年間消費量に相当する60キロのコメをもらえることになる。寄付者が住む自治体での税収は3万円減り、寄付された阿南町も、経費で全額持ち出しになるので実質的には税収は増えない。コメを買い付ける町内の農家が潤い、地域経済の助けになるとはいえ、「公的制度として、どの程度が適正か、議論が必要」(自治体関係者)との声もある。

   総務省のアンケートでは、使途を公表している自治体が約5割にとどまるという問題もあり、同省は自治体に対して、インターネットでのクレジット決済の導入など受領方法の多様化などとともに、寄付金の使途を公表することなど5項目を要請している。

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