首相の靖国神社参拝、朝日と産経で似た傾向 若年層は「賛成」が多くなっている

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   安倍晋三首相の靖国神社参拝に対して、大手マスコミの世論調査の結果が出始めた。興味深いのは、正反対の立場を取る新聞社の世論調査で、似たような結果が出ていることだ。20~30代については支持する人が多いという傾向が明らかになった。

   また、近隣諸国に対する反発を募らせている人が多いことも改めて裏付けられた。

米国の「失望した」に6割が「納得できない」

世論調査では若年層は靖国参拝に肯定的な評価をしている
世論調査では若年層は靖国参拝に肯定的な評価をしている

   産経新聞とフジニュースネットワーク(FNN)が2014年1月4日と5日、全国の成年男女1000人を対象に行った電話調査では「安倍首相の靖国神社参拝を評価するか」という問いに対して「評価する」が38.1%、「評価しない」が53.0%で否定的な声が多かった。ヤフーなどのネットアンケートでは「賛成」が圧倒的だったが、異なる結果となった。

   産経新聞は参拝に積極的な立場で、参拝直後の号外では

「『英霊に尊崇の念を表するのは当たり前のことだ』と主張し続けた首相が、参拝に反発する内外の圧力をはねのけ、参拝を実行した意義は大きい」

と書いていた。

   「評価する」と答えた人も同様の評価をした模様で、評価する理由で最も多かったのが「戦争の犠牲者に哀悼の意を示した」(74.0%)だった。逆に「評価しない」理由で最も多かったのが「外交的配慮に欠ける」(61.9%)だった。

   全体的には参拝に否定的な声の方が多い半面、国外からの批判には反発する声の方が多く、複雑な国民感情が垣間見える。中国・韓国の姿勢に対しては「納得できない」67.7%、「納得できる」23.3%と大きく差が付いた。米国が「失望した」と声明を出したことについても「納得できない」59.2%、「納得できる」31.6%だった。

   ただ、比較的若年層は、参拝を肯定的にとらえているようだ。30代は「評価する」50.6%、「評価しない」41.4%で、20代でも「評価する」43.2%、「評価しない」41.6%で、評価する人の方が多かった。男女別では男性の方が「評価する」が多く、女性は総じて「評価しない」とする声の方が多い。

朝日調査でも韓国・中国の姿勢に8割以上が反発

   主として若者を対象とした朝日新聞調査でも同様の結果が出た。この調査は「20代はいま」をテーマに、参拝前の13年11月上旬~12月中旬に行われ、参拝後の12月29日に公表された。対象は20代3000人、30代以上2500人。郵送で回答を求めており、通常の世論調査とはやや目的や手法が異なる。また、安倍首相という固有名詞を挙げた聞き方ではないが、「日本の首相が靖国神社に参拝することに賛成ですか。反対ですか」という問いに対して、20代では賛成60%、反対15%と賛成が反対を大きく上回った。30代以上でも、賛成59%、反対22%と大きくは変わらなかった。「30代以上」の有効回答の年代別内訳は、30代17%、40代18%、50代19%、60代22%、70代16%、80代以上8%。年代ごとの回答は公表されていないが、「30代以上の約6割が賛成」ということは、幅広い年代で靖国神社参拝に肯定的な評価があることをうかがわせる。

   また、「尖閣諸島や竹島をめぐる中国や韓国の姿勢についてどう思いますか」という問いには、20代では「大いに反発を覚える」39%、「ある程度反発を覚える」44%と、8割以上が反感を抱いていることが明らかになった。30代以上はさらにこの傾向は顕著で、「大いに反発を覚える」50%、「ある程度反発を覚える」40%だった。

共同通信の調査では賛否が拮抗

   この朝日新聞の調査のあとに安倍首相の参拝があり、その後に内外からの批判が高まった分、参拝後の産経新聞の調査では肯定的な声が減少している可能性もある。

   例えば、共同通信社が参拝後の13年12月28日と29日に行った全国緊急電話世論調査では、靖国参拝について「よかった」43.2%、「よくなかった」が47.1%で、こちらも否定的な評価の方が多かった。

   朝日新聞の調査結果については安倍首相も把握している様子で、秘書が、調査結果が公表された12月29日のフェイスブックで

「他にも人生や恋愛観に関する様々な質問を設けた大々的な世論調査なのですが、紙面の扱いは何と、まさかの『30面』……。靖国神社参拝に対する国民の賛否など大切な事項が多いのですから、目にとまるいつもの様に一面で報じた方が良かったのでは」

とつづっている。

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