遺伝子検査が、誰にでも簡単に利用できるようになっている。親子関係や潜在的な病気を調べたり、最近は美容やダイエット対策として自分自身の体質を調べたりするのに使われている。
米国では自分のルーツ(祖先)を探るのにも使われているそうで、用途が広がり、検査に必要な費用も安くなった。その一方で、遺伝子検査キットが販売停止となるケースも出てきた。
遺伝子解析に「たったの99ドル」
「たった99ドル(約9900円)で、あなたの遺伝子を解析します」――。13年8月、全米でこんなテレビCMが流れた。遺伝子解析を手がける米シリコンバレーの「23andMe」(23アンドミー)のCMだ。
23アンドミーの遺伝子検査は病院に行く必要がなく、自宅から手軽に利用できる。インターネットの同社のホームページで99ドルの遺伝子検査キットを申し込むと、検査キットが届く。唾液を採取して容器に入れて送り返すと4~6週間で解析が完了し、自分専用のホームページで結果を閲覧できる仕組みだ。
すべての遺伝情報ではなく、病気や薬の反応などとの関係が深い一部の遺伝情報だけを解析する仕組みを採用したこと、また利用者を増やすことで規模のメリットを追求して、コストダウンを図った。
遺伝子解析で、254項目の健康に関するリスクや、自分の体質やルーツを探る手がかりがつかめる。
2007年から始まった同社の遺伝子検査は、すでに米国内外で50万人が利用していて、13年中に100万人に拡大する計画だったとされる。
ところが、米食品医薬品局(FDA)は11月、健康リスク判定サービスの販売停止を求めると警告した。FDAはその理由を、同社の健康リスク判定によって消費者が自分の判断で治療を変更したり、誤った判定や偽陽性で消費者が間違った判断を下したりする危険性を指摘している。
23アンドミーは現在、自身のルーツを探るための遺伝子検査のみで販売を続けている。