マクドナルドには、世界中でおなじみのキャラクター「ドナルド」(海外ではロナルド)がいる。真っ赤な髪に白塗りフェースの道化師姿が印象的だ。
文字通り「マクドナルドの顔」としてテレビコマーシャルにも頻繁に起用されていたが、「そういえば最近見ないな」と不思議に思うかもしれない。実はもう6年以上、CM出演から遠ざかっているのだ。
米市民団体が「反ドナルド」サイトで署名や寄付を募る
「TVCMでドナルドを見かけない」といううわさは、2010年にはインターネット上に出ていた。主役級の活躍をしていたのに、パッタリ姿を現さなくなったといぶかる人も見られた。
実はこの時期、米国である騒動が起きていた。消費者の権利や安全を守るため企業活動を監視する市民団体「コーポレート・アカウンタビリティー・インターナショナル」(CAI)が、ドナルドの存在を問題視して企業キャラクターとしての活動をやめさせようと計画していると、米CNN電子版が2010年3月30日に伝えていたのだ。
CAIの代表者は、ドナルドが「50年もの間、子どもたちを不健康な食品に誘導してきた」と批判、全米のマクドナルド店舗の外で「ドナルドの起用を中止せよ」との運動を展開すると宣言した。これに対してマクドナルド側は「ドナルドは愛すべき当社のブランド大使」と主張、入院中の子どもを支援するチャリティー事業で重要な役割を果たしているうえ、一般家庭が抱える子どもの身の安全や識字能力向上といった課題の啓発にも貢献していると説明した。
ただ2010年4月15日付の米サロン・ドット・コムの記事では、「反ドナルド運動」が起きた頃にはすでに、ドナルドの広告起用が取りやめられていたと報じられている。TVCMからは「退場」し、代わりに会社が実施するチャリティーの各種催しや健康増進キャンペーンへの参加に限定されるようになった。一方でCAIはあくまでドナルドの完全引退を目標に定め、専用のウェブサイトを立ち上げて署名や寄付を募り、マクドナルドに対抗する。
日本でも、最近のマクドナルドのTVCMにはドナルドは出ていない。期間限定のハンバーガーやサイドメニューの宣伝のみならず、子ども向けのおもちゃがついた「ハッピーセット」のCMにも姿はない。「子どもの人気者」といった立ち位置のはずのキャラクターなのに、何が起こったのかが気になる。