高級官僚が次々天下り先奪還に成功 国際協力銀に続き政策投資銀も財務省OBか 

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   政府が100%出資する政府系金融機関の国際協力銀行(JBIC)は年末も押し迫った2013年12月26日、トップ人事を発表した。同日付で元経団連会長の奥田碩総裁(81)が退任し、後任に財務省出身の渡辺博史副総裁(64)が昇格。財務省にとっては天下りの重要ポストを一つ奪還したことを意味する。

   「残る重要ポスト、日本政策投資銀行総裁が財務省の手に戻るのは時間の問題」とささやかれ始めたが、「役人生活にどっぷりつかっていた人に金融機関の経営ができるのか」との疑問の声も根強い。

渡辺氏に天下り批判を踏まえた質問も飛ぶ

   JBICのトップ人事の記者会見には奥田、渡辺両氏が臨んだ。奥田氏は経団連会長時代(2002~2006年)には黒々としていた頭髪も、さすがに白髪が目立った。最近では表舞台に出てくるのは珍しい。次期経団連会長選びが佳境を迎えている時期だけに財界担当記者も顔を見せる中、「彼(渡辺氏)を超える人材は見当たらない」などと持ち上げた。奥田氏は古巣のトヨタ自動車の相談役に2014年1月1日付で就く。

   奥田氏と違って頭髪が既に真っ白い渡辺氏に対しては、天下り批判を踏まえた質問も飛んだ。渡辺氏は「JBICは政府の政策遂行も使命。公的部門で働いた私の経験が役に立つと思う」などとかわした。

   ちなみに、渡辺氏は旧大蔵省に昭和47(1972)年入省組。成績優秀だとして事務次官候補ともされたが、結果的に同期の津田広喜氏に次官レースで敗れ、次官級の財務官で役人生活を終えた。しかしOB生活で見れば、元次官の津田氏が早稲田大大学院の教壇でくすぶるのに対し、渡辺氏がかつて次官の天下り先だったJBIC総裁に収まったことで「ドラマチックな逆転劇」(財務省OB)との驚きが一部で広がる。

有力政府系金融機関で民間出身者は日本政策投資銀行くらい

   政府系金融機関のトップはかつて、財務省だけでなく、経済産業省や農林水産省を含めた霞が関官僚の有力な天下り先だった。しかし、小泉純一郎元首相が「官から民へ」のかけ声のもと政府系金融機関改革を進めた結果、トップは民間企業で経営に携わった人に次々に置き換わった。

   それがここへきてオセロゲームのように再び官僚OBに置き換わっている。2013年6月には元経済産業省事務次官の杉山秀二氏が商工中金副社長から社長に昇格。10月には元財務事務次官の細川興一氏が日本政策金融公庫副総裁から総裁に昇格。いずれも民間出身者がトップだったのを霞が関OBが奪い返した格好だ。

   有力な政府系金融機関で民間出身者が務めるのは,日本政策投資銀行くらいだ。今は元富士銀行(現みずほ銀行)頭取の橋本徹氏が社長だが、橋本氏が79歳と高齢なこともあり、元財務事務次官の藤井秀人副社長を社長に昇格させようと財務省が画策している。それが実現すれば、財務省の天下り先奪還作戦はほぼ完成する。

   ただ、政投銀内には「藤井社長」に不満を持つ生え抜き勢力も少なくない。政投銀社長を天下り指定席にさせず民間出身者がトップの政府系金融機関の「最後の砦」とすべきとの動きもあり、水面下の攻防が注目されている。

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