自動車保険はもう「お荷物」だ 損保大手は海外展開を加速中

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国内自動車保険は儲からず赤字基調

   損保各社が海外展開を急ぐ背景には、主力の国内自動車保険が儲からず赤字基調が続いている事情がある。交通死亡事故自体は減っているのだが、事故による後遺症の補償や車の修理費用などが以前より高くなっているのに対し、収入となる保険料が追いつかないことなどが影響している。

   こうした「構造問題」の証拠として指摘されるのが、規制緩和で「生損保の相互参入」が認められて誕生した損保系生保と生保系損保の状況。損保系生保が医療保険などでよく稼ぎ、グループの収益を支えているのに対し、生保系損保はうまくいかず大半が撤退してしまった。「事故対応で手間がかかる割に実入りが少ない」(大手生保幹部)という。

   2014年4月の消費税増税で事態はさらに深刻化する。契約者が支払う保険料には消費税がかからないが、自動車の修理費用など損保が払う保険金は増税分の支払いが増えるためだ。業界全体では1000億円を超える負担増になるとも言われ、保険料の値上げも不可避と見られている。

   ただ、海外に活路を求めざるを得ないとは言っても、ビール各社などの例が示す通り、必ずしも海外企業の買収が成功するわけではない。「高い授業料を払っただけ」に終わらないために、難度の高い戦略を迫られている。

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