日経Web調査「親の自由」との回答は11.7%
1990年代半ばごろから増え始めたという「キラキラネーム」は、ここ10年で急増した。背景にあるのは、「個性のある子に育ってほしい」という親心の表れだと指摘されている。一般的にも「読み方」へのこだわりは強まっているようで、2013年に生まれた赤ちゃんの名前で最も多かった男の子の「悠真」は「ゆうま、はるま、ゆうしん」、「結菜」は「ゆいな、ゆな、ゆうな」とさまざまな読み方になっている(明治安田生命調べ)。「読み方に個性を」との感覚が現在の親世代で当たり前となっているのであれば、そこから飛躍して「これからの子には世界に一つだけの名前を」という発想の親戚や、「あなたの赤ちゃんもうちの子のような個性的な名前に」と勧める同世代の母親がいてもさほど不思議ではないだろう。
ただし「学校でいじめられる」「就職活動で不利になる」との批判もあり、世間の目は冷たい。日経新聞電子版が今年実施した意識調査では、「子供にキラキラネームを付けること」について62.7%が「親が自粛すべきだ」と答え、25.7%が「当て字的な読みは役所が受理を拒むべきだ」と回答している。「親の自由だ」としたのはわずか11.7%にとどまった。また8月にはこども病院の救命医が患者取り違えの危険性があるとして、ツイッター上でキラキラネームの自粛を訴えたことも話題になった。
命名研究家の牧野恭仁雄さんは自身のホームページで、「命名の専門家に言わせていただくなら、珍奇名前(編注:『珍しい奇抜な名前』の略)と個性は何のつながりもありません」とキラキラネームに「個性」の願望を込める親たちにくぎを刺す。名前の読み方に関する法律はないが、それは名付け親の良識に任されているからだとして、自由にふりがなを付ける傾向に疑問を呈す。「名前はその社会で広く、永く使われるものですから、名づけの際はつねに社会人としての意識、他人に迷惑にならないような気遣いが必要です」と主張している。