欠かせない「地元経済への貢献」という視点
――民営化後は施設の数は増えているのですか。また、利用者のニーズに合った展開にすることで、何か変化はありましたか
芝尾 エリアの新設は高速道路の延伸と連動するので、SAやPAの数もそれほど増えていません。むしろ既存の施設をリニューアルし、利用しやすいものに変えていくことに力を入れています。
小熊 「Pasar」へのリニューアルによって、売り上げが2倍から3倍になったところがあります。ただ、お客さまの数は高速道路料金の無料化や割引などの施策などによるところもあるので、単純に数字だけで評価するのではなく、まずはサービスの質を上げ、利用者の満足度を高めてリピーターになってもらうことを目指しています。
――「地域ごと」の違いも、かなり強く打ち出しています
芝尾 当社では、事業を進めるにあたって地域との連携を大切にしているのですが、高速道路をご利用のお客さまは、目的地までの途中にある地域を通過してしまうことになります。
そこで、SAやPAを「地域のショーウィンドウ」にすることで、お客さまにその地域の魅力を知ってもらい、特産品などを購入してもらうことを通じて、地元の経済に貢献できれば、と考えています。SAやPAを運営するための雇用創出も、小さなものではないと思います。
小熊 市原(千葉)や菅生(宮城)、那須高原(栃木)、横川、赤城高原(群馬)、友部(茨城)のSA・PAは「ドラマチックエリア」と名付けて、各地域の魅力を生かした旅のドラマを演出する特産品などを取り揃えています。
たとえば、市原SA(上り線)では若者に人気の「カフェ・カンパニー」が運営しています。開放的なリゾート風のインテリアで地産品を取りそろえ、房総半島のイメージを前面に押し出していますが、ここを利用する方に房総の魅力を知っていただき、次の旅行先に選んでもらいたいという思いがあります。