2014年動画ニュースサイト新時代 20秒映像、SNS連携、モバイル視聴がキー

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   米タイム誌が年末に選出した「2013年ウェブサイト・トップ50」。音声・動画部門では、エンターテインメント系に交じって動画ニュースサイトが入った。

   大手メディアが配信する報道番組映像とは異なり、編集された20~30秒の短いビデオクリップが次々に流れる独自のつくりだ。スマートフォン(スマホ)やタブレット型端末での視聴を意識しており、大手交流サイト(SNS)と連携して多くのユーザーの取り込みをねらう。

モバイル、ソーシャル世代のための動画ニュースサイト第1号

トップページに大きく映しだされた動画の画面
トップページに大きく映しだされた動画の画面

   トップ50のひとつに選ばれた「ナウディス・ニュース(NowThis News)」は、「急増しているモバイル、SNS利用者」をターゲットに、1万本を超えるオリジナルのニュース動画を配信している。1本の視聴時間は最長でも30秒程度と短い。スマホやタブレット型端末のアプリを提供する一方、毎日50本程度の動画を、フェイスブックをはじめツイッター、ユーチューブ、さらには最近流行している「6秒動画」投稿サービスのヴァインなど複数のSNSに向けてコンテンツを更新している。タイム誌によると、「モバイル、ソーシャル世代のための動画ニュースサイト第1号」との位置づけだ。

   トップページを開くと、主要ニュース動画の画面が大きく広がる。米オンラインニュース「ハフィントンポスト」に似たページレイアウトだが、実はNowThis Newsを立ち上げたのはハフィントンポストの共同創設者と、元最高経営責任者だ。古巣で培ったノウハウを生かしたに違いない。1本の動画は約20秒で、キャスターがニュースの「キモ」となる内容をかいつまんで伝える。

   例えば、米政府の情報収集活動を暴露した米中央情報局(CIA)元職員のエドワード・スノーデン氏がワシントンポスト紙のインタビューを受けたというニュースでは、「彼は同紙に『任務成功だ』と語った」「今は自由に外出できない身だが、『(暴露する)価値はあった』と述べた」と新聞記事の要素を端的に説明。映像ではスノーデン氏の写真を複数見せながら、強調したい引用部分はわざわざ文字を書き起こして画面上に大きく映した。短時間ながらエッセンスは十分理解できるし、視覚に訴える手法も効果的だ。

   1本終わると、自動的に次の映像に切り替わる。放っておけば延々とニュース映像が配信される仕組みだ。5分も流しっぱなしにすれば、10本以上のニュースをカバーできる計算となる。その日のトピックをひとまず把握するには最適だろう。興味があるニュースなら、あとで別のサイトで記事を読めばよい。

「収益化が目標ではない」と言うが…

   ストレートニュースでないコンテンツも「見て分かる」を重視しているようだ。例えば「2013年のヒット映画」を伝える映像の場合、該当作品の一部シーンを15秒程度流すだけ。時間をかけて文字を読み映画の中身を理解するよりも、ひと目でイメージをつかめそうだ。ユーチューブに投稿された面白ビデオを紹介したり、ジョージ・W・ブッシュ前大統領を皮肉ったゲームの紹介映像を扱ったりと、既存メディアが配信するコンテンツと比べて「守備範囲」が広い。

   米オンラインニュース「ビジネスインサイダー」は2013年7月29日付の記事でNowThis Newsを特集した。米3大ネットワークのひとつABCでニュースのデジタルプロデューサーを務めたという編集長がインタビューにこたえ、「多くの利用者を引き付ける新たなプラットフォームづくりを目指す」と設立の趣旨を説明した一方で、「収益化が目標ではない」とも語った。巨大なユーザー基盤を持つ大手のSNSと次々に連携し、モバイル機器を片手に「いつでもどこにいても、NowThis Newsがあればニュースが分かる」という新しいスタイルをつくりたいというわけだ。

   同社は37人の社員を抱え、経営陣には元大手メディア出身者が座る。当然、事業として成立させなければ未来はないはずだ。だが動画コンテンツには、ユーチューブで見られるような広告映像は入っていない。近い将来、動画ニュースのプラットフォームの「覇権」を握ったときに一気に稼げるという自信があり、今は多少の出費には目をつぶっているのだろうか。

   今回タイム誌に選ばれた動画サービスのなかには、ニュース映像を20秒以内にまとめたNowThis Newsのほかに、最大5秒の長さの投稿クリップを並べた「5-Second Films」というものもあった。ジョーク映像が多く、ウィットに富んだつくりもあり、手軽さからつい見入ってしまう。先述した6秒動画サービスのヴァインを含めて、2014年のトレンドは「秒単位で見られる動画サービス」になるかもしれない。

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