「収益化が目標ではない」と言うが…
ストレートニュースでないコンテンツも「見て分かる」を重視しているようだ。例えば「2013年のヒット映画」を伝える映像の場合、該当作品の一部シーンを15秒程度流すだけ。時間をかけて文字を読み映画の中身を理解するよりも、ひと目でイメージをつかめそうだ。ユーチューブに投稿された面白ビデオを紹介したり、ジョージ・W・ブッシュ前大統領を皮肉ったゲームの紹介映像を扱ったりと、既存メディアが配信するコンテンツと比べて「守備範囲」が広い。
米オンラインニュース「ビジネスインサイダー」は2013年7月29日付の記事でNowThis Newsを特集した。米3大ネットワークのひとつABCでニュースのデジタルプロデューサーを務めたという編集長がインタビューにこたえ、「多くの利用者を引き付ける新たなプラットフォームづくりを目指す」と設立の趣旨を説明した一方で、「収益化が目標ではない」とも語った。巨大なユーザー基盤を持つ大手のSNSと次々に連携し、モバイル機器を片手に「いつでもどこにいても、NowThis Newsがあればニュースが分かる」という新しいスタイルをつくりたいというわけだ。
同社は37人の社員を抱え、経営陣には元大手メディア出身者が座る。当然、事業として成立させなければ未来はないはずだ。だが動画コンテンツには、ユーチューブで見られるような広告映像は入っていない。近い将来、動画ニュースのプラットフォームの「覇権」を握ったときに一気に稼げるという自信があり、今は多少の出費には目をつぶっているのだろうか。
今回タイム誌に選ばれた動画サービスのなかには、ニュース映像を20秒以内にまとめたNowThis Newsのほかに、最大5秒の長さの投稿クリップを並べた「5-Second Films」というものもあった。ジョーク映像が多く、ウィットに富んだつくりもあり、手軽さからつい見入ってしまう。先述した6秒動画サービスのヴァインを含めて、2014年のトレンドは「秒単位で見られる動画サービス」になるかもしれない。