消費税増税による消費の落ち込みが不安材料
政府は2013年12月24日に発表した12月の月例経済報告で、物価の持続的な下落を意味する「デフレ」の表現を4年2か月ぶりに削除した。日経平均株価は同日、取引時間中としては2007年12月以来、約6年ぶりに1万6000円台を回復した。日本経済はデフレ脱却に向け、「緩やかに回復しつつある」(内閣府)という。
こうした流れを受け、2014年はデフレからの脱却を果たし、日本経済は反転するという期待が政府や市場関係者の間で強まっている。電通総研は「消費者の間では『待っているよりも、積極的に動くべきだ』という意識が生まれつつある」「防衛的だった消費意識が、ようやく未来を実感し、次のフロンティアに向けて動き出した。2014年は今世紀の日本にとって記念すべき年となるだろう」と、期待を込める。
とはいえ、政府が「デフレ」の表現を削除しながら、「デフレ脱却」を宣言できないのは、2014年4月の消費税増税による消費の落ち込みを警戒しているからに他ならない。
政府と経済界、労働界の代表は2013年12月20日、異例の「政労使会議」を開き、「デフレ脱却には企業収益の拡大を賃金上昇につなげていくことが必要だ」と、2014年春闘で賃上げに取り組むことで合意した。政労使が賃上げで合意するのはもちろん初めてだ。賃上げは安倍晋三首相の肝いりで盛り込まれたが、合意に拘束力はない。デフレから脱却できたとしても、賃金が上がらなければ、消費増税が負担となるのは目に見えている。2014年春、アベノミクスの真価がこれまで以上に問われるのは間違いない。