フランスへの旅行者は5000万人を超えている
安倍晋三政権は、成長戦略の一環である「日本再興戦略」で訪日旅行者について、2013年に1000万人、2030年に3000万人超を目指すとの目標を掲げていて、まずは第一段階をクリアした。とはいえ、フランスへの旅行者は5000万人を超えているほか、韓国は既に1100万人を達成済み。日本は世界30位以下で、1000万人で満足してはいられない状況だ。
今後、さらに訪日客数を増やし、3000万人超を早期に達成するには課題が少なくない。例えば言葉の問題だ。日本国内で英語などが通用するとは限らず、「コミュニケーションが問題」との指摘は多い。安倍政権は標識を多言語表記にするなどさまざまな対策を強化する方針だが、訪日客を広く受け入れるには観光地だけでなく、商業施設や街中でのきめ細かな対応が不可欠だ。
対策を進めるための人材不足も問題だ。例えば、政府観光局の職員数は日本では132人だけで、韓国は日本の約5倍、タイは約7倍を確保しているという。韓流ドラマのロケ地巡りなど、国内のソフトパワーを観光に生かす韓国に対し、日本は「クールジャパン」を標榜しながら、観光には十分結びつけられていないのも現実だ。国内の多様な力を結集し、国ぐるみで対応する必要がある。