原発の長期停止で電気料金は上がる
このまま審査が順調に進んだ場合、最短で2014年春ごろの再稼動を電力業界は期待している。しかし、審査が先行する7原発14基がすべて再稼動したとしても、発電能力(設備容量)は約1400万キロワット。全電源の発電電力量に占める割合は8%程度に過ぎず、原発事故前の3~4割には及ばない。それでも赤字決算が続く電力会社は、収支改善を求め、原発の早期再稼動を目指している。
原発の長期停止で電気料金が上がったのは事実だ。東京電力の場合、企業など大口需要家向けで2012年4月に平均16.4%、一般家庭向けは同9月、平均8.46%値上げした。しかし、猛暑だった2013年夏でも節電が定着し、政府の節電要請などなくても10年比で20%以上のピークカットを実現した。節電すれば電気料金の値上げ分を相殺することが可能で、「料金体系の見直しやスマートメーターの設置が進めば、さらに節電効果が高まる」(エネルギー業界関係者)との見方もある。
原子力規制委員会の新規制基準をクリアした原発が出たとしても、最終的な再稼動の判断には県知事らの同意も必要で、政府、自治体、電力会社、市民を巻き込んで議論は最後までもつれそうだ。