新聞各社がそろって特ダネの掲載に力を入れるのが元日の紙面だ。2014年は、3紙が中国と韓国関連の話題を取り上げた。
安倍晋三首相の靖国神社訪問への批判が高まるなか、新年も引き続き中国・韓国との関係が日本外交にとっての懸案になりそうだ。
2010年には防空識別圏は設定されていた
毎日新聞と読売新聞は中国について扱った。いずれも軍事力の強化を裏付けるものだ。
毎日は「中国、防空圏3年前提示」と題して、2010年5月の段階で、当時すでに設定されていた防空識別圏の存在を中国人民解放軍の幹部が日本政府関係者に伝えていたと報じている。記事によると、中国側は防空識別圏の範囲を「中国が主張するEEZ(排他的経済水域)と大陸棚の端」と具体的に説明。沖縄県の尖閣諸島上空も含むとの認識を示していた。中国側は不測の事態に備えてリール作りを求めてきたという。
だが、日本側からすれば、中国側の主張する防空識別圏を前提に議論を進めると「尖閣諸島に領土問題は存在しない」という日本政府の立場と矛盾するため、当時中国側の防空識別圏が公表されていなかったことを理由に、日本側は「公表していないものについて、どう扱うのかコメントできない」と協議を拒んだ。一連のやりとりで、中国が3年前の時点で「領空拡大」に向けた動きを進めていたことが明らかになった形だ。
読売新聞は「中国軍 有事即応型に」と題して、中国軍の再編計画を伝えている。今の「7大軍区」を有事即応に対応した「5大戦区」に再編するという。この5大戦区には、それぞれ陸軍、海軍、空軍、第2砲兵(戦略ミサイル部隊)からなる「合同作戦司令部」を新たに設ける。この動きを、読売記事では、
「これまでの陸軍主体の防衛型の軍から転換し、4軍の機動的な統合運用を実現することで、沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海や南シナ海での制空権・制海権の確保に向けて攻撃力の強化を目指すものだ」
と解説している。