ゆるキャラ戦国時代といわれる。各地で公認、あるいは非公認の着ぐるみのマスコットたちが、地域おこしの宣伝活動を繰り広げている。そんなゆるキャラたちの人気を競う2013年の「ゆるキャラグランプリ(第4回)」では栃木県佐野市の「さのまる」が全国1700キャラクターの頂点に立った。
しかし今年、J-CASTニュースで最も注目を集めたのは「さのまる」ではなかった。J-CAST「ゆるキャラ関連記事」の年間アクセスランキングTOP3から、この1年の、ネットでの「ゆるキャラ騒動」を振り返る。
周囲から立て続けに「臭い」と言われてしまい…
何かと話題を発信し続けたのは、千葉県船橋市の非公式キャラ「ふなっしー」だ。12年春以来、船橋の名産である梨のPR活動を「自腹」で行っていたが、今年に入って人気が急上昇。8月には「ご当地キャラ総選挙2013」で優勝し、今ではすっかりお茶の間の人気者になった。J-CASTニュースのランキングでも、今年は「ふなっしー」の記事が2位、3位にランクインしている。
2位:ふなっしー「中の人」ついに判明? 商標登録情報に「出願人」の氏名が(11月22日)
第3位:ふなっしーに『めっちゃ臭い』疑惑 中村アン暴露に『台本なっしー』と釈明するが…(10月16日)
10月14日放送のバラエティ番組「うわっ!ダマされた大賞」(日本テレビ系)に出演したふなっしーは、隣に座っていたモデルの中村アンさんから唐突に「ふなっしー、めっちゃ臭い」と指摘されてしまった。番組終了後、ふなっしーは同情するファンに対してツイッターで「大丈夫 それバラエティーだから台本なっしー♪」と返信したものの、悪臭疑惑については否定せず。さらに15日放送の「お試しか!」(テレビ朝日系)に出演した際にも、芸人に「独特な匂いが・・・近いと気になっちゃう」と言われ、ふなっしーの悪臭説は揺るぎないものになってしまった。
ゆるキャラには臭いの悩みがつきものだ。ことにふなっしーは各種イベントに引っ張りだこ、しかもハイジャンプや小刻みな揺れなど持ち味にしており、運動量が極端に多い。長らく「1号」のみで活動していたため、汗をかいても多忙で「入浴」が難しかったのだろう。
今年12月なって、念願の「2号」がテレビ番組の企画により誕生した。これにて、おそらく本人が一番辛かったであろう「悪臭問題」もようやく緩和されそうだ。
「中の人などいない!」はずなのだが…
「ゆるキャラ」が活動する上で、しばしば話題にのぼるのが「中の人」の問題だ。年間ランキングの2位にもこの話題がランクインした。
「梨の妖精」であるはずのふなっしーだが、ファンの間では商標出願の登録情報にある「出願人」が「中の人」ではないか、という噂が広まっていた。ネット上では、この人物と同じ名前の男性が船橋市で家具店を経営していることや、同名のFacebookアカウントがふなっしー関連の話題に「いいね!」していることが分かっており、ファン界隈では「この男性がふなっしーと深い関わりがある」とされていた。
当のふなっしーは、疑惑をかけられるたびに「中の人などいないなっしー」「中の人とか都市伝説すぎてブシャー」などと切り返していたが、「中の人」騒動が本格化した11月ごろも特に答えることはなく、沈黙を守っていた。騒動が落ち着くと、今度は「週刊ポスト」が家具店を直撃し、男性に会えなかったかわりに近所住民などから得た「核心情報」を報じた。また、「女性セブン」は男性の実家をつきとめ、母親への取材結果を伝えた。マツコ・デラックスさんはこうした取材を「下品」として不快感を示していたが、ふなっしーの人気が続く限り、詮索は続くだろう。2014年、「中の人」騒動はどう発展するのだろうか。
「下ネタ」はほどほどに…
そして2013年、最も反響があったのは、過激すぎる「問題発言」で窮地に立たされてしまった佐賀県鳥栖市のゆるキャラ「とっとちゃん」の記事だ。とっとちゃんは市鳥のメジロをモチーフに04年に誕生、今年9月からは音声合成により「しゃべれる」ようになっていた。だが、その「おしゃべり」が事件を引き起こした。
1位:鳥栖市公式ゆるキャラが「アナル」「われめ」… ラジオで「問題発言」、活動自粛か(11月9日)
10月23日未明、ラジオ番組「久保ミツロウ・能町みね子のオールナイトニッポン」(ニッポン放送系)にゲスト出演し、生放送中にゆるキャラを生み出す企画に参加した。リスナーから届いた「女性器のゆるキャラを描いてください」とのメールに、パーソナリティーの久保さんが「『とっとちゃん』ならぬ『ちっつちゃん』ですね」と下ネタを飛ばすと、とっとちゃんはそれに被せて「とっとちゃんの方が気持ちいいですとっと」と言い放った。その後、久保さんに制されるも止まらず、脈絡なく「ビラビラだとっと」「男性器すごい、とっと」などと発言したり、「アナル」の正しい発音を指摘したりと「ヤりたい放題」だった。
当初、ゲストのゆるキャラ評論家、犬山秋彦さんから「鳥栖の観光協会から『下ネタ』の許可を取っている」と説明があったのだが、市には一連の「わいせつ発言」に対する苦情が寄せられ、鳥栖市は11月15日に着ぐるみ出演の年内活動自粛を正式に発表した。音声は委託企業が担当していたといい、観光協会との意識のずれがあったようだ。同じく委託運営による問題発言で、「引退」を余儀なくされた北海道長万部町の「まんべくん」を彷彿させる。
2013年の「ユーキャン新語・流行語大賞」には、トップテンの1つに「ご当地キャラ」が選ばれ、ゆるキャラが市民権を得た年となった。J-CASTニュースでは2014年、個性豊かなゆるキャラたちの「偉業」や「珍事件」を紹介するのはもちろん、電子書籍刊行も予定している。