ルノーの業績悪化 ゴーン社長、仏での立場失う?
とはいえ、トヨタやホンダ、マツダに三菱自動車、富士重工業と円安を背景に、急速に業績を回復させているのに、なぜ日産だけがこうも苦しんでいるのだろうか。
ひとつは海外戦略の違いがある。日産は早くから生産体制を海外に切り替えてきた。「日本でも逆輸入車を走らせていたくらい円高対策が進んでいた。他社のように円安の恩恵が少ないのは当たり前のこと」と、自動車セクターのアナリストは話す。ただ、「為替の影響は一時的なもの」という。
一方、ゴーン社長がトップを兼務する仏ルノーの不振が影響している、との見方がある。欧州の景気低迷で、ルノーが強みとする南欧を中心に新車販売の不振が響いたほか、同社が8割を出資する子会社の韓国ルノーサムスン自動車の不振も要因とされる。
リストラによる、「従業員のクビを切るなら、(自らの)高い報酬も減らせ」「経営トップを代えろ」との声に、ゴーン社長は労働組合との交渉に忙殺され、さらには8月にルノーのナンバー2にあたるカルロス・タバレス元最高執行責任者(COO)を、不信感から事実上更迭した。
そんな不振が続くルノーの経営を支えているのが日産。ルノーが黒字を確保できているのは日産からの収入が大きいためで、日産しだいではルノーの経営が傾きかねない状況なわけだ。
その日産の業績までも思わしくないのだから、ゴーン社長がイラつくのも無理のないことなのかもしれない。