「日本のもの以外は市場に残らない」
では日中関係改善のきざしはあったのだろうか。
実は、中国に関する記事で最もアクセスがあったのは、AV女優の蒼井そらさんの中国での人気ぶりを伝える記事だ。彼女が処女であることを自身のツイッターで告白すると、中国のファンは色めき立ち、ウェイボーなど中国のネットは興奮のるつぼと化した。もちろん彼女の職業柄、ことの真偽は不明だが、現地メディアでも取り上げられ、大きく盛り上がった。
政治上の摩擦があるのに、どうして中国人は日本のアダルトビデオをはじめとするアニメや小説のコンテンツに関心を持つのか。日本の文化を伝える中国の雑誌「知日」の主筆で神戸国際大教授の毛丹青さんに話を聞くと、小説やアニメなど日本の文化は、中国でも圧倒的な人気だと強調する。
「知日」は鉄道や制服、猫、森ガールなど毎回テーマを絞って特集を組み、日本文化のコアなファンに受けている雑誌だ。毛さんは「知日」の売れ行きについて、「中国の雑誌市場で生き残れる外国に関する雑誌は、日本のものだけだ」と語る。
市場経済が進む中国では雑誌や書籍は売れるものを作らないといけない時代になった。将来的には「知米」や「知欧」を創刊したいと考えているが、日本の文化を紹介するもの以外には現在の競争下で勝ち残れないという。日本の週刊マンガ誌が発売から数日以内にネット上にあふれたり、アニメが違法にアップロードされたりするのは、著作権の問題はありつつも、中国人の関心の高さの裏返しだ。
毛さんは「知日」について、「ビジネスとして成功するから出版が続けられる。それだけ日本文化への理解は成熟している」と話す。
また、「知日」でAVまたは蒼井さんを特集するか質問すると、毛さんは、年齢的に詳しくないがと断りつつ、「売れるでしょうね」と話した。