「戦時中生まれは、生涯2300万円の給付」
こうした大幅な政府予算増について、新聞各紙では、一般家庭に例えると借金返済に追われる自転車操業の生活になると指摘している。
日経新聞では、歳入見込み50兆円について、父親の収入500万円に見立てると、政府予算に当たる家庭の支出が959万円と倍近くになるとした。それを新規国債41兆円に当たる借金で穴埋めするが、すでに借金の累計が1億円を超えている状況だというのだ。
しかし、少子化で稼げる若い世代が相対的に減ってくるため、いずれ累積した借金が重い負担となってこの世代にのしかかる。
元東大教授のアントン・ブラウン米アトランタ連銀上級政策顧問は、日経新聞の2013年12月11日付経済教室で、世代間格差の予測を示した。
ブラウン氏らの研究によると、戦時中に生まれた人たちは、税金などの支払いより年金などの給付の方が多く、生涯で日本政府から2300万円を受け取る計算になる。これに対し、1976年から2005年に生まれた現在37歳以下の人たちは、税金などの支払いの方が多く、生涯で政府に3000万円超を支払うことになるそうだ。
消費増税の水準がこのままなら、日本は2038年に債務不履行のデフォルトをしなければならなくなる、と指摘した。
解決法としては、ブラウン氏は2つあると言う。1つは、増税を前倒しすることで、16~18年に消費税を16%に上げ、さらに、26~77年に最高53%まで徐々に上げることを指す。
もう1つの方法は、社会保障費を削るために、70歳以上の高齢者の自己負担率を上げることだとする。具体的には、医療費を労働年齢の人と同じ30%にし、介護費も10%から30%に引き上げることを指す。
ただ、いずれにせよ、今度は選挙で大量の票を減らすことにつながるだけに、実現するにはハードルが高そうだ。