「大敗だ」。産経新聞によると、財務省幹部は、2014年度政府予算案についてこう唇をかんだという。過去最大95.9兆円まで膨張した予算については、アベノミクスの景気対策などを評価する声の一方で、日本はこのままだと「破産」といった懸念の声も出ている。
今回の予算編成に当たっては、自民党の族議員が復活したことが話題となった。
厚労族、農水族の議員らが巻き返し
例えば、2年に1度行われる診療報酬の改定だ。
報道によると、安倍晋三首相は、2013年11月15日の経済財政諮問会議で、報酬引き下げに意欲を示した。サラリーマンらの給与が減り続ける中とあって、与党内では賛同の声も出た。しかし、厚労族議員は、14年4月からの消費増税後に人々が支出を控える可能性があることなどを懸念し、予算編成で巻き返しを図った。
「民主党政権下では診療報酬を2回引き上げた。自民党が下げたら、民主党以下になる」。
自民党の厚労部会では12月18日、尾辻秀久元厚労相らがこう主張して、執行部に報酬増額を強く求めた。また、厚労部会長の丸川珠代参院議員らもこの日、官邸を訪れて、菅義偉官房長官に増額を直接迫った。中立性を求められる立場の伊吹文明衆院議長さえ、厚労族の会合に何度も出席して、問題になったほどだ。
その結果、診療報酬は、族議員が求める2%増には届かなかったものの、0.1%増になった。とはいえ、これだけで、400億円もの国民負担増になる。
今回の予算では、社会保障費ばかりでなく、農業費も伸びている。減反廃止は決まったものの、転作などの補助金は増額されたからだ。これも、TPP妥結後の影響に危機感を持った農水族議員が、巻き返しに走ったからだと報じられている。