「お騒がせ政治家」ランキング――なるものが仮にあったとすれば、2013年のMVPは山本太郎参院議員で揺るがないだろう。特に10月の園遊会での「直訴」騒動は、良くも悪くも私たちを「あっ」と言わせた。
これに限らず、離婚&隠し子報道や特定秘密保護法をめぐる攻防など、メディアに何度となくその顔と「十円ハゲ」をさらしてきた山本議員。ネットでは常に、他の国内の政治、政治家がらみのニュースを圧倒する「人気」だった。中でもJ-CAST読者が「食いついた」のはいったいどの話題だろうか。
自衛隊「人殺し」発言も波紋を呼んだ
J-CASTニュースの山本議員に関する記事でアクセスが特に多かったのは、以下の3つだ。
1位:山本太郎議員「国会議員に出す弁当はベクレてる」 西日本、九州、海外から食材「お取り寄せ」(10月25日)
2位:山本太郎陣営、公選法違反の疑い次々 前日の20時以降ビラ配り、当日にネット中継(7月22日)
3位:「人を殺したくて自衛隊になってる人もいるんですかね」 山本太郎スタッフが災害派遣の隊員見た後にポツリ、非難轟々(10月29日)
直訴そのものの記事ではなく、その直前に起こった「問題発言」や選挙運動をめぐる騒ぎが上位を占めた。これらの話題は大手マスコミではあまり触れられなかったものの、ネットではかなり話題となっており、こうした盛り上がりが園遊会での一件で「爆発」した感もある。
3位の「人を殺したくて……」発言は、山本議員本人ではなく、そのスタッフによるものだ。10月28日、台風26号で被災した伊豆大島にボランティアへ赴いた山本議員一行だったが、救助に当たる自衛隊員の様子を見たスタッフの1人が、
「人を殺したいって言って自衛隊になってる人もいるんですかね」「何でユニフォーム変えないんですかね?災害派遣なのにミリタリーで」
などと口にした。その様子が動画配信サービス「ツイキャス(TwitCasting)」で生中継されていたため、ネットからのバッシングに発展したのだ。
この件について山本事務所は「動画の一部会話部分だけを抜き取り、本来の趣旨と反する形で山本の考えとして流布」された、とウェブサイトで抗議している。一方、ネット上では山本議員本人が別の機会に「(自衛隊は)人殺しの訓練するよりもそっち(災害救助)する方が先」と言及していたことが蒸し返されるなど、騒ぎはしばらく尾を引いた。
ネット選挙の成功例か、「グレー」な運動か
参院選投開票の翌日に公開した、山本陣営の選挙運動をめぐる記事もきわめて反響が大きかった。
当落線上という事前予想から次第に抜け出し、66万票を獲得――山本議員の当選をめぐっては、解禁されたばかりの「ネット選挙運動」の成功例として肯定的に報じるメディアが目立ったが、J-CASTニュースでは目撃者の証言や、入手したビラなどから、山本陣営が公選法に抵触しかねない選挙活動を展開したのでは、との疑惑を指摘した(結局、検挙されることはなかった)。
この問題をめぐってはコメント欄でも「違反は違反」と罰則の適用を求める読者と、「山本太郎へのネガキャン」などと反発する読者による激しい論争が展開された。とにかく、その一挙一動が議論を呼ばずにいられない――「山本太郎」という人物の1つの特徴だ。
弁当が「お取り寄せ」という事実も判明
さて、山本議員をめぐるニュースで最も多くの読者を集めたのが、「ベクレてる」発言事件だ。ベクレてるとは「放射能汚染されている」ことを意味するスラングであり、その言葉を向けられた生産者や食品業者にとっては死活問題となりかねない。元々山本議員は放射線被ばくによる健康被害を深刻視する立場ではあるが、あまりに被災地への配慮に欠けるとの批判が続出、その株を大きく下げた。
ちなみにそんな山本議員本人の普段の食事はといえば、「産地に気を付けて食材を取り寄せ料理などをしています。西日本産、九州産が多いですが、海外からも取り寄せることもあります」(山本事務所)……とのことだった。
J-CASTでは「直訴」までの山本議員に関する話題を電子書籍『山本太郎とは何者か』にまとめたが、山本議員はその後も特定秘密保護法をめぐる攻防などで、相変わらずの「活躍」を見せている。2014年、山本議員は果たしてどんな動きを見せるのか。引き続き注目したい。