米アップルの「アイフォーン(iPhone)」の次期モデルについて、台湾のITオンラインメディア「DIGITIMES」が2013年12月23日、「2014年5月、大型化して発売するとのうわさがある」と報じた。
韓国サムスン電子の「ギャラクシー」シリーズをはじめ、米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載するスマートフォン(スマホ)は、続々と大型端末が登場している。競争激化にiPhoneも参戦の構えか。
スマホとタブレットの中間の「ファブレット」
新型iPhoneのサイズが大きくなるとのうわさが出たのは、今回が初めてではない。現行モデル「iPhone5s」の発売前の2013年6月13日、ロイター通信は、2014年に発表されるiPhoneは2種類で、アップルが画面に使用する液晶サイズを4.7インチと5.7インチにすることを検討していると報じていた。
当初iPhoneの画面サイズは3.5インチだったが、2012年発表の「5」で初めて4インチに拡大し、「5s」と「5c」も踏襲している。仮に5.7インチともなれば、相当な変化となる。
大型スマホの人気は海外で、確実に高まっている。米調査会社IDCは11月12日、スマホとタブレット型端末の中間のサイズと位置付けられる5~7インチの「ファブレット」に関して、2013年7~9月期の出荷台数がスマホ市場全体の21%に達したと報告した。前年同期は3%だったことから、急成長していることは明白だ。専門家は、成功を収めたアンドロイドOS搭載端末の開発メーカーの大部分は、ファブレットを市場投入していたと指摘する。
代表的なファブレットのひとつが、5.7インチのサムスン「ギャラクシーノート3」だ。国内ではNTTドコモとKDDIが取り扱う。国内未発売の「ギャラクシーメガ」は、5.8インチと6.3インチの2種類でさらに大きい。ソニーモバイルも海外で6.4インチサイズの「エクスペリアZウルトラ」を販売している。この機種を持つ台湾在住の男性に取材すると、「大画面だと、メール確認やウェブサイトの閲覧に便利」と話した。画面を操作して文字を拡大するような手間が省け、動画の視聴でも臨場感がアップする。通話の際に片手で握るのが少々大変なようだが、「スマホとタブレット両方持ち歩かなくてよいのは助かります」とメリットを挙げた。
iPhoneにサイズは期待しないが、購入したら「大きくてよかった」
日本ではiPhoneの人気が高い。調査会社MM総研が2013年5月9日に発表した2012年通期のスマホのメーカー別国内出荷台数シェアでは、アップルが35.9%と首位で、2位となった富士通の19.1%を大きく引き離した。
だが前出の台湾在住の男性は、「iPhoneは、画面が小さいと言っている人が多い」と明かす。そのためか、現地ではサムスンの人気が上回っているそうだ。大画面スマホが、台湾の消費者ニーズに合致している面があるのだろう。
調査会社MMD研究所が12月6日に発表した「2013年 スマートフォン購入者の満足度調査」の結果が興味深い。まずiPhone購入者1000人が、「端末購入時に重視する(した)項目」のうち最も多かったのが「操作性の良さ」で49.9%、僅差で「端末のブランド」が48.9%と続いた。一方「画面サイズが大きいこと」は16.5%と11項目中9番目の低さだ。購入の際、画面の大きさはさほど重要な要素だと考えていないことが分かる。
一方「アンドロイド」搭載端末の購入者はどうか。同じ質問に対して最も多い42.9%の人が挙げたのが「画面サイズが大きいこと」だった。iPhone所有者とは対照的な結果となった。
アンドロイド端末購入者の場合、「以前所有していた端末と比較して満足していること」の1位も「画面サイズが大きいこと」で、半数を超える50.3%を集めている。要するに「大画面スマホが欲しい」と買い替えて、結果も期待通り満足したということだろう。これに対してiPhone購入者の場合、その割合は32%で、全体の3番目となる。ただし回答者のうち44.6%がもともと同じiPhoneの「4s」以前、つまり画面が小さかった機種を使っていた人たちだ。一方で現在使用中の機種は「5」以降という回答者は96%に上る。このことから、旧型iPhoneから新型に機種変更する際にはサイズを重視していなかったが、替えてみたら大きくなって満足したという所有者が相当数存在することが推察される。
現状ではiPhoneに「ファブレット」の選択肢はなく、大型画面を求めるならアンドロイドに向かわざるを得ない。うわさされるような5.7インチクラスの端末をアップルが出せば、特に国内ではそのブランド力の強さを背景にユーザーを引き付けるかもしれない。