取得税の引き下げ、廃止などの軽減策も
軽と普通車との税金の格差については、業界も認識している。軽の方が国際水準に近いため、軽を引き上げるのではなく、普通車を引き下げることによって格差を是正してほしいというのが業界の主張だった。
とはいえ、国・地方の財政事情厳しき折、負担軽減が難しいことは「業界でも常識」(関係者)。あれもこれも税負担を減らすというわけにはいかなかったのも確かだ。軽自動車税増税を「弱者いじめ」と強烈に反対してきたスズキの鈴木修会長兼社長も「ルールに従ってやることだから決まった以上は納得するしかない」と冷静に語っている。
実際、購入時にかかる自動車取得税は、来年4月に消費税が8%に挙げられるのと同時に引き下げられ、消費税10%時には廃止されるし、軽自動車税の増税後も、中古車の税率は現行のまま変わらない。軽トラックの引き上げ幅は、中小企業や農家などに配慮し、自家用車よりも低く抑えられた。議論開始の当初は、軽自動車税を現行の2倍の1万4400円とする、あるいは引き上げ時期を来年4月とする案もあったのに比べれば、上げ幅は圧縮され、実施も1年先になり、ユーザーの負担はかなり軽減された。増税されても普通車よりはまだまだ割安だ。
もちろん、販売への影響は避けられず、「実際にどのくらい落ち込むかは想像もつかない」(関係者)。それでも、これまでも環境規制など幾多の困難を乗り越えてきた自動車業界のこと。表向きの反発、落胆も一時のことで、増税後を見据えた次世代車の開発や販売戦略に、どんな手を打ってくるか、注目だ。