中国製の紙おむつは「おしりがかぶれる」?
正規ルート以外からも輸出される日本製の紙おむつだが、高品質とはいえ、中国では日本の2倍近い価格で販売されている「高級品」だ。そのため、日本の大手メーカー各社は、中国で急成長する乳児用おむつ市場を狙い、輸出中心の販売からコスト競争力のある現地生産への切り替えを進めている。09年から「メリーズ」を輸出している花王は2013年1月、中国の消費者が重視する「おしりのさらさら感」を追求した中国専用商品「メリーズ 瞬爽透気」の展開を開始した。価格も1枚約1.6元(約27円)と、輸出品のメリーズ(1枚約46円)より安い。花王によると「売り上げは好調。内陸部にも販路を拡大する予定です」とのことだ。
それでも「日本製信仰」は根強い。口コミサイトでも日本製は軒並み高い評価で、買い求める消費者が絶えない。背景には富裕層・中間層が拡大し、子供への出費を惜しまない家庭が増えたこと、そして中国製への不信感があるようだ。08年にメラミン入り粉ミルクによって乳児が死亡し、外国製粉ミルクの買い占めが起きた一連の騒動は記憶に新しいが、「中国製」の紙おむつについても疑心暗鬼になっている親は少なくない。その傾向は「中国製のおむつだと赤ちゃんのお尻がかぶれる」との情報が国内で広がった12年10月ごろから顕著になり、日本製信仰に拍車をかけた。
だが最近では日本製の模造品も数多く出回っているため、消費者が「日本製」を見分けるのも難しいのが現状のようだ。中国版Amazonで販売されている日本製紙おむつのレビューを見ても、「これは明らかに偽物」「プラスチックの臭いがした」といった苦情が多数書き込まれていて、「本物」探しに苦心している様子がうかがえる。