様々な議論を正面から真摯に受け止めなければならない
もちろん、計画案は「核燃料サイクルを引き続き着実に推進する」とも明記。小泉純一郎元首相の脱原発発言で国民の関心が高まっている高レベル放射性廃棄物の最終処分については「国が前面に立って取り組みを推進する」など、政府の積極的な関与を明確にした。
同時に、使用済み核燃料を再処理しない「直接処分」について、「直接処分など代替処分オプションに関する調査・研究を推進する」とも言及。これは核燃料サイクルが計画通り進まなかった場合の逃げ道になるもので、民主党政権の政策を自民党政権も踏襲する形となった。
このほか、マスコミは大きく取り上げていないが、計画案は「原発事故前に比べ、我が国のエネルギー問題への関心は極めて高くなっている」として、「原子力の利用は即刻やめるべき、できれば原発を全廃したい、我が国に原子力等の大規模集中電源は不要であるなど、様々な立場から意見が表明されている。政府はこうした様々な議論を正面から真摯に受け止めなければならない」という文言が盛り込まれた。
原発事故前の自民党政権では考えられない文言で、電力業界はじめ経済界の意向を受けて原発を推進したくとも、脱原発の世論にも配慮せざるをえない政府の苦悩が滲んでいる。
計画案は一般の意見公募を経て2014年1月にも閣議決定される見通しだが、NPO法人「環境エネルギー政策研究所」や公益財団法人「自然エネルギー財団」など原発を基幹電源とすることへの反論も根強く、今後の世論の動向が注目される。