埼玉県立朝霞高校が台湾への修学旅行に際して、歴史認識に偏りがあるテレビ番組を視聴させたり、事実関係が分からない現地講師の話を聞かせたりしていたと県議会などで問題になり、訂正授業をしていたことが分かった。
朝霞高校では、海外への修学旅行としては初めて、2011年度から台湾を訪れている。12年度は、12月5日から3泊4日の日程で2年生319人が参加した。
歴史認識の偏りを指摘されたNHK番組を視聴させる
しかし、日本統治下の台湾を取り上げたNHKスペシャル「JAPANデビュー」(09年4月5日放送)を巡る訴訟で、東京高裁でも13年11月28日、NHK敗訴の判決が言い渡されると、朝霞高校で番組を生徒に視聴させていたことが問題になった。高校では、修学旅行の事前学習としてそれを行っていたのだ。番組は、台湾先住民族の人たちを「人間動物園」として紹介しており、民族の名誉を傷つけたとしてNHKに損害賠償を求める訴えが起こされていた。
NHKの番組はまた、日本統治で台湾に深い傷が残っていると強調しており、放送後から、「偏向している」「自虐史観だ」などと批判が相次ぐ騒ぎになった経緯もあった。
さらに、修学旅行中に、現地講師が事実関係の分からない歴史の話を生徒たちにしていたことも発覚した。こうした問題は、埼玉県議会で取り上げられ、12月16、17日の文教委員会で自民党議員らから県教委に質問が相次いだ。
文教委員の白土幸仁議員(自民)によると、生徒らが訪れた台湾の金鉱で、アメリカ軍の空襲を受けて父親を亡くしたという台湾人男性の講師が、その歴史を説明していた。この講師は、日本がシンガポールで捕虜にしたイギリス軍兵士約800人を金鉱に連れてきて働かせた結果、その半数が過酷な労働や栄養失調から死んだと話したというのだ。さらに、採掘した金については、略奪するような形で、日本の本土にすべて持ち帰ってしまったとも言っていたそうだ。