TPP「年内妥結」断念の裏側 やはり「日米交渉の不調」が影響?

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米国の利益が小さい妥結は難しい

   米国の姿勢の変化には国内事情が関係している。今秋以降、米国内では政府機関の一時閉鎖や財政赤字削減策などを巡って議会が混乱し、オバマ大統領の求心力は急速に低下してきている。閣僚会合を目前に、産業界の意をくんだ議員らがオバマ政権に交渉への注文をつける場面も増えた。議会は、大統領に貿易交渉を一任する「貿易促進権限(TPA)」もいまだに付与しておらず、「米国の利益が小さい妥結をしたら米国内で大混乱が生じるとの懸念が強まっていた」(通商関係者)とされる。

   次回の閣僚会合は来年1月に予定されているが、米国がどのような姿勢で出てくるかは見通せない。少なくとも中間選挙が近づけば、米議員は産業界や地元の影響を受け、TPPへの反対論が高まる可能性は大きい。妥結に向けた環境は日々悪化するともいえる。

   そんな中、「タイムリミットは来年春」との見方が強いが、日本の責任も軽くない。日本と米国は全TPP交渉参加国の国内総生産(GDP)の約8割を占め、両国の交渉はTPP交渉全体を左右する。しかし、日本は「聖域」とするコメや麦など「重要5項目」の関税維持を主張し続け、今回の閣僚会合でも100%の自由化を求める米国と対立し、物別れに終わった。「年内妥結」断念が日米交渉の不調と無関係とは言えない。TPPが目指す高いレベルの自由化に対し、日本も真正面から取り組む必要が強まっていると言えそうだ。

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