日本政府が打ち出した防衛政策をめぐり、早くも中国や韓国が反発を強めている。日本側の政策は、中国が南シナ海や東シナ海への進出を強めていることを警戒する内容で、島根県の竹島(韓国名・独島)については「紛争地域」と明記した。
中韓メディアは、これまでどおり安倍政権の「右傾化」に関する批判を展開、中には「日本は戦争ができる国になった」というヒステリックなものもあった。政府レベルでは対応が分かれ、中国は抑制的な反応だったのに対して、韓国は外交通商部が公使を呼んで抗議するという比較的強い態度に出た。
理念で「積極的平和主義」打ち出す
日本政府が2013年12月17日に閣議決定した「国家安全保障戦略」では、日本の外交・防衛の基本方針が示されている。国家安全保障戦略は、すでに米国や英国では作成されてきたが、日本が作成するのは初めて。その内容は、理念として、
「『積極的平和主義』の立場から国際社会の平和と安定、繁栄の確保にこれまで以上に寄与する」
とうたう一方で、中国の軍事動向については、
「わが国を含む国際社会の懸念事項となっており、慎重に注視していく必要がある」
と警戒感を示した。いわゆる「武器輸出三原則」については、見直す方向を打ち出した。
また、同日閣議決定された防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画(中期防)では、中国の動きを念頭に、離島が侵攻された場合に上陸・奪回する能力を整備することや、日米同盟がもたらす抑止力を強化する方針を打ち出している。