首相の支持率にも影響
1年後に向け両陣営の議論は、今年秋の消費税率8%決定の際と同様、首相サイドが同10%へのアップを「人質」にとり、法人税率引き下げを迫る――という構図になる。
議論の行方に大きく影響するのは、言うまでもなく、第1に景気動向だ。来年1~3月期は消費税率上げ前の駆け込みで高成長、4~6月期は反動でマイナス成長となるのは確実だが、政府のシナリオ通り、その後は回復するか、見方は分かれ、「回復が思わしくなければ消費税率10%どころでなくなる」との声が財務省内にもある。特定秘密保護法を強行成立させて下がった安倍内閣支持率が、景気動向によってさらに下がるようなことがあれば、増税のハードルは一段と上がる。
政治日程にも懸念がある。2015年春は統一地方選、2016年7月に参院選がある。統一地方選を控えた2014年末に増税を決めにくいのが人情だし、かといって、先送りすれば、参院選、さらに衆院選も視野に入ってきて、一段と増税に踏む切りにくくなる可能性もある。
法人税率引き下げ自体に「企業優遇」との批判がくすぶり、企業が来春闘での賃上げなど労働者にどのくらい還元するかも大きなポイントになる。こうした様々な要素が重層的に絡みあい、1年後に向けて議論が進むことになる。