中国の月面探査は資源、軍事が狙いか 「月面の権益」で日本出遅れの声

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   月面探査をスタートさせた中国は、宇宙での様々な権益を確保するのが狙いとみられている。それに比べて、日本は出遅れたとの声が強い。

   「月の権益を分かち合う通行証を手に入れる」。時事通信などが報じたところでは、中国共産党の機関紙「北京青年報」は、2013年12月15日付社説でこう宣言した。

「いかに中国の宇宙空間の利益を守るかが避けて通れない課題」

   通行証の意味は書かれていないが、事実上、宇宙空間の領有権に近いものを指すらしい。月のエネルギーと鉱産物が重要な資源の補充になるとしたうえで、「いかに中国の宇宙空間の利益を守るかが避けて通れない課題となった」と書いているからだ。

   日本のメディアでも、中国が月に進出したのは、資源の獲得が狙いの1つだと報じている。例えば、核融合発電の燃料になる「ヘリウム3」は、次世代エネルギーとして期待されている。テレ朝系「グッド!モーニング」は16日、中国がこうした資源について「月にある宝」と見ていると紹介した。ヘリウム3は、地球上ではわずかしか存在しないが、月には、全人類が消費する電力の数千年分が賄える量が存在すると言われているからだとした。

   次に、中国が狙っているのは、月の軍事利用とみられている。今回の月面探査は、日米などとは違い、人民解放軍が主導して行われたとされるからだ。

   中国が2030年ごろから建設を進めるとしている月面基地については、中国メディアに載った完成予想図では、ロケットの発射台のようなものも描かれた。産経の記事によると、中国の新聞「京華時報」は、専門家の話として、「月にミサイル基地を建設すれば、反撃の心配なく敵の軍事目標を攻撃できる」と指摘した。また、「グッド!モーニング」では、国防関係者が中国メディアに「月面に武器試験場、軍用ロケット燃料庫とミサイル発射基地を建設する」とより具体的に語ったとしている。

専門家「日本はアメリカの反応を見過ぎた」

   大阪大学大学院の渡邉浩崇特任講師(宇宙政策史)は、中国は、必ずしも資源・軍事目的だけで月探査を進めているわけではないと言う

「ヘリウム3と言っても、地球上ですぐにエネルギーとして使えるわけではありません。国際法の宇宙条約では、軍事施設は作らないと決めており、中国がすぐにそのようにする可能性はあまりないと思います。中国はむしろ、科学技術を含めて総合的に国力を高めようとしているとみています」

   たとえ、月面にミサイル基地を作ったとしても、月面から地球に到達するのに1、2日はかかり、地球上から発射する方がメリットはあるという。また、アメリカなどは高度な軍事技術があるので、月面の方が反撃の心配がないということにもならないとみる。

   ただ、中国の月面進出で、日本が遅れを取ったのは事実だという。日本は、2007年に探査機「かぐや」を月で周回させ、13年ごろには後継機を月に着陸させる構想もあったが、それが尻すぼみになった経緯がある。

「米オバマ政権が火星探査に大きく舵を切ったので、その反応を見過ぎたのだと思います。天体の領有は禁止されていますが、月に探査車などを残した国に優先権が出て早い者勝ちみたいになるのは当然出てきます。日本は、優柔不断でアメリカに頼り過ぎたのでは。経済が悪く、財政が厳しくても、着実に計画を続けていくことが大切でしょう。でないと、インドなどにも出遅れてしまいますよ」
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