サッカーくじ「BIG」で国内史上最高額となる10億2円の1等が9口出るなど、巨額の当選金が手に入る宝くじが人気だ。「年末ジャンボ宝くじ」も史上最高額の1等・前後賞合わせて7億円に増額された。
1夜にして大金を手にした人はどうなってしまうのか。実際に億単位のくじを当てた人が、テレビ番組に出演、その生活の変化を語っていた。
元は派遣プログラマー
2013年11月26日放送の日本テレビ系「スッキリ!!」では、10億円の当選者が複数出た「BIG」について特集した。実際にくじで億単位の金額が当たるとどうなるか、番組では過去に6億円を当てた男性にインタビューし、当選前と当選後の変化について聞いた。
アメリカでは当選者が名乗り出て記者会見を開くことがあるが、日本ではひっそりと受け取る人がほとんどのためテレビ出演するのは珍しい。男性は匿名を条件に顔をぼかして出演した。当選した2008年当時は30代の派遣プログラマーで月収は40万円ほど。しかし、仕事が途絶えがちで生活に困っていたという。
証拠の預金通帳がカメラに映し出され、残高4419円しかなかったところに、6億円が振り込まれていた。「自由ですよね。金銭的な自由と時間の自由ができた」と当選後の心境の変化を語り、お酒を飲むときの金額も桁違いに増えた。当選前は東京・新橋の飲み屋で「思いっきり使って」3人で10万円だったのが、当選後は多い時で一晩1500万円を現金で使うこともあった。
当選後の手続きは「ものすごく簡単」だと言い、当選くじを渡して振込先口座を指定するだけだった。信用金庫の支店長に当選金を現金で見たいと依頼し、半分の3億を目の前で見ることができたが、「実感がないというか、紙の束としか思えない」という感想を抱いたこと明かした。
2ちゃんねるでは6億円の当選者に、
「当たる前瀕死でわろた」「すげーなあ もう何も心配しなくていいな、健康だけか」「1/3でいいので俺の口座に振り込んでください・・・」
などと羨ましがる書き込みが相次いだ。
アメリカは名前を公開する必要
番組に出演した東京大学大学院教授のロバート・キャンベル氏は、
「これがアメリカだと名前を公開しないといけないという法律があって、6つの州でしか匿名性を認めていない。1つは名前を公表しないとインチキをやっているのではないか、という不信につながる。もう1つは購買意欲を煽るんですね。次の人たちがどんどん買おうと」
と日本とアメリカの違いについてコメントした。
出演した6億円当選者の男性は、プログラマーから投資家に転身して仕事も順調だというが、キャンベル氏が「5年後に70%の人がすべてを失うっていう研究もある」と指摘するように、突然億万長者になると冷静な判断ができなくなる人も少なくないようだ。
宝くじの場合は、1000万円以上の当選者向けに「【その日】から読む本 突然の幸運に戸惑わないために」という名の専用ハンドブックが用意されている。当選者だけが無料でみずほ銀行から受け取れる非売品の冊子だ。2008年12月8日の「AERA」によると、高額当選者をケアするため、冊子には「知らせる必要のある人をすべてリストアップ」「ローンや借金の返済を優先する」「贈与税について知っておく」といった項目や、お金をどう使うかのチェックシートまでもある。