超党派による「カジノ法案」が2014年1月の通常国会での成立を目指すことになり、カジノ「第1号」を誘致する候補地争いが、いよいよ熱を帯びてきた。
前評判では2020年の東京五輪の開催決定にあわせて機運が高まっている「お台場カジノ」がリードしているようだが、沖縄や北海道、大阪も意欲的。さらには東京「築地」案も浮上しているという。
リリー・フランキーさんも「築地カジノがいい」と
海外では120以上の国や地域で合法化されているカジノだが、日本では刑法上の賭博とみなされ、実現には特別法などの制定が必要だ。
そんなことで、自民党と日本維新の会、生活の党と一部の無所属議員は2013年12月5日、カジノを解禁するための「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」を衆院に提出。1月召集の通常国会で審議し、成立を目指すという。
提出された法案は、許可を受けた民間事業者が国の認定を受けた地域でカジノ施設や宿泊施設などが一体となった「特定複合観光施設」を設置・運営できる規定を盛り込んでいる。カジノは近年、ホテルや国際会議場、スポーツ施設などを備えた統合型リゾート(IR)が主流になっている。そのため、「第1号」の有力候補とみられているのが、2020年の東京五輪の開催で周辺地域の整備が決まっている「東京・お台場」というわけだ。
一方、東京・築地は、2015年度以内に豊洲への移転が決まっている築地市場跡地の再開発が未定のまま。ここにカジノを誘致しようという。
跡地は今のところ住宅棟や商業棟を建設することが検討されているが、隣接地に商業施設はあり、豊洲や佃は高層マンションがすでに林立している。また、築地市場は外国人観光客でにぎわう観光スポットだ。市場を含め、地域はそれで潤っていた事情もある。そこに浮上したのが「カジノ構想」ということのようだ。
銀座や日本橋に近く、食事や買い物帰りにも寄れるという、立地を生かせることもあって、市場跡地にカジノ付きのホテルを建設。「大人のアミューズメントパーク」をアピールしようというわけだ。
11月17日に、「TOKYO ICHIBA NOW!~考えてみよう 築地と豊洲のこと~」をテーマに開かれたイベントでは、イラストレーターで作家のリリー・フランキーさんが市場移転後の再開発について、「人が集まるようになってくれれば。有効利用してほしい」と話し、「カジノがいい」と提案した。
カジノは地域活性化の起爆剤 大坂、沖縄、北海道、宮崎…
東京都は「2013年6月に知事のほうから『お台場』周辺との発言があったのは事実ですし、フジテレビや三井不動産が具体案をもっていることも知っていますが、東京都として具体的な場所の選定はまだしていません」と話し、築地案については「聞いていない」という。
「いまはIR推進法の成立や刑法などの改正などカジノの実現に向けた法整備について注視しているところです」と話している。
とはいえ、「カジノ」に期待をかける地域は多い。どこも観光客誘致、地域の活性化の「切り札」として考えている。
最近は東京の一極集中への批判もあって、「地方へ」との声も大きくなっている。カジノ賛成派の日本維新の会の共同代表である橋下徹・大阪市長がけん引する「大阪カジノ」。観光振興策として、また滞る米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設問題を動かす狙いも見え隠れする沖縄。観光客誘致の「目玉」を狙う北海道では釧路と小樽、苫小牧の3市が誘致に前のめりになっているし、九州では宮崎市の「フェニックス・シーガイア・リゾート」や、長崎県佐世保市の「ハウステンボス」が意欲的だ。
大阪商業大学の佐和良作教授の試算によると、日本にカジノが開設された場合の経済波及効果は最大で約7兆7000億円にのぼるというのだから、起爆剤としては十分大きい。