安倍晋三首相は2013年12月14日会見し、同日まで行われた日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)特別首脳会議の成果についてアピールした。その中で、上空飛行の自由などを確保する取り組みを進めることで合意したことを強調。防空識別圏(ADIZ)を突然設定した中国をけん制した。
中国の動きは「多くのASEANの首脳の皆さんも懸念を共有していると思う」
特別首脳会議には、ASEAN加盟10か国のうち、政情不安で副首相が代理出席したタイ以外の9か国の首脳が出席。航行の自由、上空飛行の自由、民間航空機の安全を確保するための協力を強化することで合意した。
記者会見では、名指しこそ避けたものの、
「ASEANがさらに発展していくためには、力ではなく法が支配する安全な海と空が不可欠。これに対して現在一方的な行為により、東シナ海・南シナ海の現状を変えようとする動き、自由な飛行を基礎とする国際航空秩序を制限しようとする動きがみられる。この地域の緊張が高まっていくことは、誰の利益にもならない。我々は、このような動きを強く懸念している。おそらく、多くのASEANの首脳の皆さんも懸念を共有していることと思う」
と、中国の一連の動きを批判。日中関係については、
「課題があるからこそ、首脳同士が胸襟を開いて話し合うべきなのではないか。ぜひ中国側にも同じ姿勢を取っていただきたいと思う」
と述べ、従来の「対話のドアは常にオープン」という姿勢を繰り返した。
北朝鮮の張成沢(チャン・ソンテク)元国防委員会副委員長に対して死刑が執行された問題が日朝関係や拉致問題に与える影響については
「具体的にコメントすることは差し控えたい」
と述べるにとどめた。