13年5月には十六銀行テーマにした連載も
岐阜新聞社の発行済み株数1万6000株のうち、12年9月時点で社主の杉山涼子氏が4700株、会長の杉山幹夫氏が715株を保有。堀江氏の出身母体の十六銀行も700株を持っており、第3位株主だ。大株主の関係者が出資先企業の役員に就任すること自体は珍しくないが、株主と新聞社との距離感が問われた可能性もある。
例えば13年5月には、岐阜新聞は十六銀行の名古屋進出をテーマにした連載記事を掲載している。そのまとめ記事では、
「岐阜県に本社を置く十六銀行の136年の歴史の中で、テーマをあえて名古屋進出に絞ることは、県紙・岐阜新聞にとっても一つの決断でした」
と連載を総括。頭取だった堀江氏のインタビューも掲載されている。
また、13年8月には連載をまとめた単行本も発売された。
堀江氏が辞任を発表した翌日の12月13日には臨時取締役会が開かれ、12月9日まで社長を務めていた碓井洋氏の復帰を決めた。さらに、発表文には、
「また、杉山幹夫代表取締役会長は一連の混乱を招いた責任を取り、代表取締役を退任し、取締役となりました」
とある。杉山氏は04年まで33年間にわたって社長を務めた。前出のように2位株主でもあり、社長退任後も会長として影響力を保ってきた。
これが影響しているのか、岐阜新聞社の社長ポストは入れ替わりが激しい。杉山氏の社長後任にあたる朝日新聞出身の松岡幸秋氏は05年12月に退任し、09年12月まで空席が続いた。09年に社長に就任したのが、今回復帰が決まった碓井洋氏だ。