いまだに町の人口の約3分1が仮設住宅で暮らす大槌町で、仮設住宅の住民によるファッションショーが、12月1日、大槌町の中央公民館で開かれた。お年寄りのモデルが身にまとったのはリメイク服。被災地支援の一環として全国から贈られた和服を材料に、洋服に仕立て直した。都会の華やかなファッションショーではなかったが、会場は温かな雰囲気に包まれた。
ファッションショーは、大槌町のまちづくりを考える「三陸復興フォーラムin大槌」のイベントの一つとして行われた。出演者は大槌第7仮設団地の「大槌ひまわりの会」や、小鎚第12仮設団地の「中村仮設手芸教室」などのメンバー16人。一人一人が手づくりのリメイク服で登場し、観客席と観客席の間の通路を舞台にポーズをとり、拍手を浴びた。
リメイク服作りを指導したのは岩手県雫石町(しずくいしちょう)に住む、岩手県環境アドバイザーの小赤澤直子さん(67)。遠野市で被災地支援活動をしているボランティア団体「遠野まごころネット」を通じて、全国からタンスにしまい込んである和服を集め、洋服に作り直した。ファッションショーの司会もした小赤澤さんは「タンスに眠っている着物を再利用する試みに、仮設のお年寄りの方々が取り組み着物に命を吹き込んでくれました。皆さん、楽しそうで、これからも続けていきたい」と話した。
小鎚第12仮設団地から参加した山崎ウメさん(82)はモデルの大役を果たし、「この年でファッションショーに出演できるとは思いもよらなかった。楽しかった」と感想を述べた。唯一の男性モデルの赤﨑幾哉さん(71)は中村仮設団地の自治会長。「モデルの皆さんは若々しく、素敵でした。感動しました」
震災後、被災者の仮設住宅暮らしは2年以上を経過した。これから復興が本格化するにつれて、一人抜け、二人抜けして仮設住宅は店じまいする時を迎える。仮設が閉じられ、離れ離れになったとしても、住民は、勇気づけられ、元気づけられた仮設暮らしの日々を決して忘れることはないだろう。
(大槌町総合政策課・但木汎)
連載【岩手・大槌町から】
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