大麻取締法に「使用罰」の規定はないが…
覚せい剤取締法では、明確に「使用の禁止」がうたわれている。だが大麻取締法には、法で定められた大麻取扱者以外による所持、栽培、譲り受け、譲り渡し、研究のための使用には罰則があるが、「使用(吸引)罰の規定はありません」と厚生労働省監視指導・麻薬対策課の担当者は取材にこたえた。とはいえ、使用の事実からたどって所持が分かったり、他人から大麻を手に入れたのが明るみに出たりすればアウトとなる。仮に吸引の最中に見つかればその時点で「所持」していることになるので、これも結局は違法行為になる。
海外渡航先で大麻を吸引した後に帰国したとなると、現物の所持が見つかったりしない限りは法に触れるという事実を証明しようがない。極端な例だが、外国で大麻を使用して帰国直後に空港で倒れ、救護された際に検査をして使用が分かったとしても、理論的には国内法では裁かれないことになるだろう。半面、わずかでも大麻を持ち帰っていたなら「1発レッドカード」だ。
ウルグアイでは今回の合法化にあたって、60%近くの国民が法案に反対していたと報じられている。海外でも、賛成派が「アルコールよりも安全」と主張すると、反対派は「コカインなどハードドラッグの入り口になる」と警告を発し、意見が真二つに分かれる。それでも、少なくとも今の日本国内では、法で厳しく制限されている薬物だ。今後海外での合法化が広がれば、日本人旅行者が大麻に触れる機会は増えるだろうが、現地では許される行為でも、「うかれ気分」のまま日本に持ち込みでもすれば大目玉では済まされない。