日本の土着種とされるヤマトゴキブリ(The species Periplaneta japonica)が、冬のアメリカ・ニューヨーク市内の公園で初めて見つかったと米科学サイトが2013年12月9日に報じた。
記事では、冬の寒い中でも生息が可能なヤマトゴキブリはこれまで韓国や中国に進出してきたように、今後はアメリカ侵略が始まりそうだなどと書いている。本当だろうか。
ヤマトゴキブリは雪の中でも生き残っていける
アメリカの昆虫学会や大学の研究者が中心となっている科学サイト「The Journal of Economic Entomology」によれば、ニュージャージー州立大学のラトガース大学(Rutgers University)の研究者らがこの冬にニューヨークの公園でヤマトゴキブリを発見した。米国には存在していない種のため、突然変異種かと疑ったが、繁殖形態やその形からヤマトゴキブリに間違いないことが分かったのだという。
この大学はゴキブリの生態に関する研究が盛んで、20年ほど前に日本で研究を行い、ヤマトゴキブリが雪の中でも生き残っていけることを確認している。
「種が韓国や中国を『侵略』してきたように、これからはニューヨークの屋内、そして冬の屋外でも生息していくことが考えられています」
などと説明している。
ヤマトゴキブリは日本の土着種とされ、体長は2~3センチで色はやや茶色に近い黒褐色。オスは日本ではゴキブリの代名詞的存在の外来種「黒ゴキブリ」に似ている。民家内や雑木林などに住んでいる。むろん世界各地の嫌われモノで、新たにアメリカでも繁殖することとなったら大変だ。
日本の研究者「見つかったのは偶然。繁殖は難しい」
ゴキブリに詳しい国立大学生物学の教授に話を聞いてみたところ、本当に冬のニューヨークでヤマトゴキブリが発見されたとすれば、日本を含むアジアから空輸や船舶で運ばれた食物に卵が落とされていた可能性が考えられる。
卵は巾着のような中に10個から20個入っていて、気温が高かったり、周辺に熱を発するようなものがあったりした場合は孵化する、という。ただしニューヨークで繁殖が進むかについては首を傾げている。
「寒さに強い虫ではありませんし、屋外で生きるとすれば国内の九州でも冬は厳しい。これから増えていくのではないかという心配はいらないと思います」
とし、今回ニューヨークで見つかったのは「偶然」の可能性が強いと指摘している。