2014年のサッカーワールドカップ(W杯)ブラジル大会で、日本の対戦相手が決まったことで、旅行会社には応援観戦ツアーへの問い合わせが相次いでいる。
エイチ・アイ・エス(HIS)は第1弾として、2013年12月7日に1次リーグの日本戦1試合を観戦するツアー(3コース)の販売を開始する。ただ、7日間で77万7000円、しかも、観戦チケットを所有している人が対象ということで、「お手軽」というわけにはいかないようだ。
「観戦ツアー」ではなく、あくまで「応援ツアー」
FIFAワールドカップブラジル大会は、2014年6月12?7月13日、世界中から激戦を勝ち抜いた32か国の代表が、ブラジル国内12都市で1次リーグから全64試合の熱戦を繰り広げる。
日本は1次リーグ・グループC。第1戦は6月14日19時(現地時間)、ブラジル北東部のリゾート地、レシフェでコートジボワールと対戦。第2戦は6月19日19時、海沿いで高温多湿のナタールでギリシャと、第3戦は6月24日16時、内陸の中西部で世界最大の湿地で世界遺産のパンタナールへの玄関口にあたる都市、クイアバでコロンビアと対戦する。
対戦相手が決まったことで応援ムードが高まってきたなか、旅行大手のHISとJTBがW杯応援ツアーを企画した。
HISは、「組み合わせが決まったことで、問い合わせは増えています」と話す。参加希望者は12月24日18時30分までに申し込み、27日に行われる抽選で決める。今のところ、第2弾は未定という。
JTBは12月26日から、1次リーグの3試合を応援するツアーなど、9コースを用意。料金は未定。同社はほかに1試合のみの観戦や、観光をセットにしたコースを2014年2月に発売する予定だ。
盛り上げってきたブラジル大会だが、いずれのツアーも対象は観戦チケットを所有している人。「観戦ツアー」ではなく、あくまで「応援ツアー」というわけだ。
これまではFIFAから日本サッカー協会(JFA)に割り当てられていたチケットがあったため、JFAと契約した旅行会社がチケット込みのツアーも企画できた。ところが、ブラジル大会の観戦チケットはJFAへの割り当てがなかったという。
観戦希望者はFIFAのホームページから自身で購入
観戦希望者はFIFA のホームページから自身で購入する仕組みのため、旅行会社は今のところ、往復の航空便と現地のホテル、スタジアムまでの交通などをパッケージにして提供する「応援ツアー」しか企画できないわけだ。
ちなみに、チケットは1試合のみ、スタジアム限定、応援チーム特定の3種類で、1試合135ドル(約1300円)から、応援チームを1次リーグから決勝戦までの7試合、すべて観戦した場合の3350ドル(約32万円)などがある。
W杯ブラジル大会の応援ツアーについて、HISは「サッカー王国で行われる大会ということで、モチベーションは上がっていますし、『ブラジル大会だから行きたい』という人は少なくありません」と、期待を寄せている。
とはいえ、希望するチケットはなかなか手に入らないし、手間がかかる。また、「(ブラジルは)日本の裏側ですから、物理的に遠く時間がかかります。国土も広大ですからスタジアムへの移動も大変。治安も必ずしもよいとは言えないところがありますから、その分旅費もかかります」と、ある旅行会社の関係者は話す。
前回、2010年の南アフリカ大会も日本人にとっては有名な観光地とはいえず、「遠い国」だった。そのため、前々回のドイツ大会で「1試合、観戦20万円」からだったツアー料金は、1次リーグ初戦のカメルーン戦が5泊8日56万8000円(観戦チケット別)など、倍以上になった。
当時、JTBは「0泊4日」の弾丸ツアーを38万9000円(チケット別)で発売したが、ブラジル大会はその南ア大会を上回るかもしれない。