日産ゴーン氏のような「成功例」はまれ
かつては後継について「日本人が望ましい」と発言したこともある長谷川社長だが、日本人、外国人問わず1年以上前から選考に着手していた。その結果、英、米、シンガポールなど7か国で勤務経験があり、先進国、新興国ともに精通するウェバー氏に行き着いた。
1781年に大阪で創業した武田。2003年に長谷川氏が社長に就任する前は、創業家の武田国男氏が社長だった。それから10年あまりで、外国人がトップの座につくことになる。20世紀には考えられなかった経営体制の激変といえる。
ただ、これまでは日本企業の外国人トップが、必ずしも豊かな実績を上げてきたとはいえない。日産のゴーン氏は大規模なリストラを断行し、経営危機に貧していた日産を復活させたが、こうした「成功例」はまれだ。ソニーのストリンガー氏は主力のテレビ事業が低迷したまま退任した。日本板硝子も、社長在任期間は短かった。
ウェバー氏が武田の企業文化を理解し、グローバル企業としてリーダーシップを発揮できるか。その手腕が注目される。