中国メディアが周辺海域警備強化に警戒感
韓国の防衛識別圏の設定には、中国メディアも警戒感を示している。例えば中国共産党系の環球時報は2013年12月10日、韓国メディアを引用する形で、周辺海域の警備が強化されることを報じている。例えば空軍は主力戦闘機のF-15Kを派遣し、海軍は週2~3回だった哨戒機P-3Cによる偵察を毎日に増やす。海洋警察もヘリコプターや哨戒機CN-235を派遣する、といった具合だ。このような状況で反応を「静観」にとどめておくのは難しいとの見方だ。
ただし、中国が離於島をめぐって事を荒立てたくなくない様子もうかがえる。12月9日の会見では、
「中国と韓国の間には、この件をめぐって領土問題は存在しないという合意がある。蘇岩礁(韓国名・離於島)は、中国と韓国の排他的経済水域が重なる水域にある。この問題は、海の境界に関する交渉を通じてでしか解決できない」
と、韓国を攻撃することを避けた。
この件は、日本にとっても多少の関係がありそうだ。京郷新聞によると、離於島周辺の警備強化にともなって、F-15Kの一部を東部の大邱(テグ)基地から西部の光州(クワンジュ)基地に移す必要がでるという主張も出ている。だが、そうすると竹島(韓国名・独島)上空の警備が手薄になる。離於島と竹島のどちらに重点を置くか、韓国軍は微妙な判断を迫られているという訳だ。
竹島は、古くから韓国の防衛識別圏の中に入っている。日本は竹島上空を防衛識別圏に指定していないが、そうすべきだとの議論も出ている。だが、金寛鎮(キム・グァンジン)国防相は12月5日の国会の国防委員会で、この点について「そうならないような外交的努力が必要」とけん制した。