最初は「国際法と国際慣例に従うべき」としか言っていなかった
中国は少々様子が違う。中国外務省の洪磊(ホン・レイ)報道官は、識別圏の拡大が正式に発表される前の12月6日の会見では、
「防空識別圏は領空ではない。領空の外に(飛行機の)識別と早期警戒のために国家が設けるものだ。海や空の管轄権とは何の関係もない。韓国の防空識別圏の拡大は、国際法と国際慣例に従うべきだ。中国は平等と相互尊重の原則に基づいて韓国とコミュニケーションをとる構えだ」
と静観する構えだった。だが、発表後の12月9日の会見では一転、
「中国は韓国側と何度も東シナ海の防空識別圏設定について話し合ってきた。韓国側は防空識別圏の拡大を通知してきた。中国は韓国の決定に遺憾の意を表明する。中国外務省と国防省は、それぞれに韓国に対して中国側の立場を明確にし、関連する問題に慎重に、適切に対応するように求めてきた。中国は引き続き、平等と相互尊重の原則に基づいて韓国とコミュニケーションを取っていく」
と発言。日本に向けるような「強烈な不満」とは距離があるものの、「遺憾」と、ネガディブは反応を示した。
この背景には、中国が前出の離於島の扱いに苦慮しているとの見方がある。離於島は干潮時にも水面下に沈んでいるため、中韓ともに領土として主張することはできないが、韓国がこの岩礁を基礎にして海洋調査施設を建設したため、中国が抗議したという経緯がある。