「日本高血圧学会の理事会は解散して出直せ」 バルサルタン論文不正問題で身内から厳しい提言

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   「虚偽広告に加担した学会理事会はいったん解散して出直すべきだ」との医師の提言が医学専門誌に掲載され、波紋を広げている。

   『日本医事新報』2013年11月16日号に「日本高血圧学会の新生を願う--バルサルタン論文不正問題で失墜した信頼回復に向けて」

と題した意見を寄せたのは、桑島巖・東京都健康長寿医療センター顧問。NPO法人・臨床研究適正評価教育機構理事長も務め、早くから、高血圧薬バルサルタン(商品名「ディオバン」)の論文不正問題を指摘してきた医師だ。

ノバルティスファーマ社の宣伝に多くの幹部が加担

   桑島さんは、委員として参加した厚生労働省の検討委員会でも、事件が薬事法で禁じる誇大広告にあたる可能があり、広告のあり方が議論になったことを紹介した。実際、ノバルティスファーマ社は、不正があった京都府立医大や東京慈恵会医大での臨床試験の論文をもとに他社製品との違いをくり返し大宣伝したが、桑島さんは、その広告に日本高血圧学会の理事長や理事、ガイドライン作成委員など多くの幹部が加担したことを問題と指摘した。

   不正のあった論文は一流誌に掲載されたものの、それを否定するような欧米や日本の別の論文が出ており、疑問とする意見もあった。それなのに、学会幹部がそろって企業広告で絶賛したのは「論文読解能力が欠けていたか、企業へのおもねりが強すぎたか、その両方」で、学会の責任は大きい、としている。

   桑島さんは、学会の信用を取り戻すためとして次のような方策を提言している。

「理事長は虚偽広告に加担したことを国民に謝罪し、理事会をいったん解散、バルサルタン問題に関わりの少ない会員による理事会を発足させ、学会幹部が虚偽広告に加担した経緯を検証し、再発防止策を取る。また、理事長、総会大会長、ガイドライン作成委員長は任期中、企業広告への参加、企業依頼の講演などの禁止、というルールを作る」

   桑島さんは学会の元・評議員、現在も功労会員なので、身内からの発言だ。「虚偽宣伝で、バルサルタンが不適切な患者に処方された可能性もある。これだけ大きな社会問題で学会に責任なしは許されない」と、話している。

(医療ジャーナリスト・田辺功)

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