替え歌「ひみつの安倍ちゃん」ネットで出回る? 東京新聞記事に「聞いたことがない!」の声

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「それは ひみつ ひみつ ひみつ ひみつの安倍ちゃん」

   こんな替え歌がネットで出回っているそうだ――という新聞記事が、ネットで話題になっている。特定秘密保護法にネットでも反対論が強まっている、という趣旨で掲載されたのだが、当のネットユーザーから「聞いたことがない!」とまぜっかえされてしまった。

「がーんとゴリ押し それはなあに…」

議員会館前。法案反対活動の拠点となったが、9日には人影はなく、ただ参加者の忘れ物と思しき防寒着が残るのみだった
議員会館前。法案反対活動の拠点となったが、9日には人影はなく、ただ参加者の忘れ物と思しき防寒着が残るのみだった

   この替え歌は、往年の人気アニメ「ひみつのアッコちゃん」の主題歌を、特定秘密保護法と安倍晋三首相に引っ掛けてパロディー化したものだ。原曲は井上ひさしさん、山元護久さん(ともに故人)の手になる愛らしい歌詞だが、この「安倍ちゃん」版は、

「野党を抱き込み 高飛車で がーんとゴリ押し それはなあに
それは ゾンビ ゾンビが復活 ツンツツン
死んでなかった 戦前に後戻り ツンツツン
それはなあに それは ひみつ ひみつ ひみつ ひみつの安倍ちゃん」

と直截的な政権批判となっている。

   東京新聞では東京・杉並区を中心とした反対運動を紹介した記事の中で、この替え歌を「インターネット上に出回っている」と取り上げた。法案反対の姿勢を明確に打ち出す東京新聞だけあって好意的な紹介で、素直に読めば、「そうか、ネット上でもみんな法案に反対しているのか」と受け取ってしまいそうな内容だ。

作詞者は反対派団体の呼びかけ人

   ところがこの記事が掲載されると、ネット上ではその内容に首をかしげる人が相次いだ。「初めて聞いた」というのだ。ブロガーの篠塚修司さんもこれを検証、東京新聞掲載前の時点でネット上には「3件」しか露出がなく、しかもそれは反対派の市民団体などのページばかり、としたため、さらに疑問が広がった。

   なおこの替え歌について、東京新聞、あるいは実際にネットで紹介していた市民団体のページでは作詞者を示していないため、ネットの中から「詠み人知らず」的に誕生したように見える。

   しかし実際には、元NHKプロデューサーの永田浩三・武蔵大学教授がフェイスブックで、自らが作詞者であることを明かしている。永田教授は反対派団体の呼びかけ人として、国会前などで繰り返しこの歌を披露し、その模様は「一市民」による抗議の姿として、5日には「news every.」、6日には「ミヤネ屋」(ともに日本テレビ系)で放映されてもいる。

ミヤネ屋でも放映され一部で爆笑

   過去には、2007年の第1次安倍政権退陣をめぐり朝日新聞に、「アベする」という言葉が流行語となっている、とのコラムが掲載され、ネットを中心に「捏造だ!」と批判が殺到した事例がある。11年には日経新聞でも、「そんなの関税ねえ、そんなの関税ねえ、はい、TPP」というギャグがネットで出回っているとの文章が掲載され、やはり「初めて聞いた」などと物議をかもした。

   今回はどうだろうか。実は上記のテレビ放映当時ツイッターや2ちゃんねるでは、

「ひみつのあべちゃんwwww面白いけどふざけてるみたいで真剣さが伝わらんぞw」
「ひみつのあべちゃんわろた」

などとそれなりに評判になっていた。さらに東京新聞掲載前の6日午後には2ちゃんねるで、この歌詞をネタにしたスレッドが立てられていたことも確認できる。ただし、こちらは1レスもつかないまま終了しており、反応は芳しくなかったようだ。

   また安倍首相・特定秘密保護法と「ひみつのアッコちゃん」を組み合わせるという発想自体は永田教授に限ったものでもなく、ブロガーのきっこさんも11月に自作の「ひみつのアッベちゃん」の替え歌をツイッターで投稿している。歌詞こそ作っていないが、「ひみつのアベちゃん」というフレーズだけなら、プロデューサーのおちまさとさんもブログで使ったことがある。流行っている、とまでは言えないが、まったく知られてなかったとも言い切れない。

   ただ、記事がいう「ネット上に出回る」という状態ではなかったのは確かだろう。

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